· 

投資六年目

 世界的にコロナ緩和の動きとなりました。欧米ではすでに日常生活が戻りつつあり、中国でも昨年12月のゼロコロナ政策の終了により、厳しい行動制限がなくなりました。日本でも、マスクの着用が個人の判断にゆだねられるようになり、5月には5類へ変更されました。旅行支援なども活発になってきており、3年間抑制されてきた消費欲が発散されることが期待できます。また、リモートワークや仮想現実など、コロナによって技術革新が促進されたという一面もありました。東証の「資本コストや株価を意識した経営」の目標がどう影響するのかも気になります。

 ロシアとウクライナとの戦争は依然として続いています。遠く離れた日本にも、エネルギー関連をはじめとした物価高として大きな影響を及ぼしています。コロナによる長期的な物流の停滞、ロシアへの経済制裁の影響もあるでしょう。そしてロシアだけでなく中国との軍事的な緊張も高まりつつあり、防衛費増額の動きとなりました。

詳しく見ていきましょう。

 世界的なコロナ対策の緩和により、インバウンド需要増加の見込みが増え、過去最高益を挙げる企業も増えてきました。日銀の金融緩和継続の方針もあり、欧米に遅れてようやく日本市場もコロナからの回復が見えてきました。日経平均は堅調に上昇し、7月には3万円台を突破できそうな勢いです。しかし、これまで3万円で頭打ちだったので、今回これを突き破れるかに注目が集まります。

日経平均 2023年

 日経平均は、3万円台をあっという間に飛び越え、バブル景気以来の最高値を更新することになりました。

そして日本の大企業を中心に賃上げが相次ぎ、順調な経済回復がされているように思われます。また、年明け以降急速に進んだ円安も、海外勢の日本株買いを後押ししました。そして、米有名投資家のウォーレンバフェット氏が、日本株への追加投資を表明したことも重なり、一気に日経平均は34000円近くまで上昇します。

 しかしながら、株価の上昇があまりにも急激すぎてその反動が少し心配な面もあります。

日経平均 2023年

 やはり一気に株高になりすぎた反動か、34000円台目前で下降トレンドとなりました。7月以降のダウ平均の下落、そして10月以降の円高トレンドへの反転もその下降トレンドを一層加速させたものと思われます。何とか30000円台は維持し、年末は上昇基調で終わったものの、来年以降このまま下降トレンドが続くのか、34000円を突き破りさらに一段高い株高となるのか、注目です。

日経平均

 コロナからの回復により、今後モビリティや旅行の需要はかなり増えると思われます。また、IT関連の技術革新や、防衛産業なども今後国からの投資が増えるため、関連する個別株に注目してもいいかもしれません。米国を中心としたAI市場と、それに付随した日本の半導体関連の株価上昇にも期待が高まります。

 1989年に記録した、日経平均の最高値3万8915円を超えることはできるでしょうか?

 米国市場も振り返っておきましょう。2021年後半に日本に先んじて経済回復した米国は、2022年に入ってからはダウ平均が上下を繰り返しなあら下降トレンドの状況でした。ロシアへの経済制裁による悪影響を、何とか持ちこたえているという状況でしょうか。そして記録的なインフレによって一般国民は厳しい生活を強いられています。記録的な物価高を抑制するため、FRBが金利を高い水準に維持していることも、株価の低迷に影響していると思われます。

 しかしながら、2023年はAIなどのハイテク株への注目や、旺盛な個人消費に支えられて、総じて株価は上昇基調でした。もう少し詳しく2023年を振り返ってみましょう。

ダウ平均 2023年

 2023年3月、欧米の複数の大手銀行が経営破綻しました。これにより市場に不安感が広がり、ダウ平均は下落します。そして、安全資産の円や日本国債が買われる大きな動きが起こり、為替が一時円高に動きました。しかし、その他銀行の早急な対応もあり、株の下落は一時的なものにとどまりました。その後は旺盛な米国内消費にも支えられて株価は上昇します。

 7月のFRBによる利上げに加え、10月にはイスラエルの軍事衝突によって国際情勢に不安感が広がり、再びダウ平均は大きく下落します。

 12月、FRBが2024年の利下げを示唆したことで、期待感から株価が一気に加速し、史上最高値を更新して年を終えました。

ダウ平均 2023年

 為替も見てみましょう。前年2022年は年始から10月ごろにかけて急激な円安となり、11月から年末は反転円高が進み130円台で年を終えました。その原因は日米の金利差です。

 そして2023年も、米国FRBは金利を段階的に上げていった一方で、日本は低金利が維持されたため、再び円安が進みました。11月にかけて150円台まで上昇しました。これが海外投資家日本株買いに繋がり、日本株の株高に大きく寄与しました。しかし、12月、FRBが2024年に利下げすることを示唆したことで、一気に円高に動きました。そして年末には140円台に落ち着きます。今年も為替相場が大きく動いた年となりました。

 

為替 2023年

コロナからの復活による日本の株高はいつまで続くのか、米国の堅調な株高は継続するのか、FRBの利下げによって為替は円高傾向に落ち着くのか、2024年も見通しの難しい年となりそうです。