中級知識


 より良い投資を行うためには、どうしても経済に関する知識が必要になってきます。このページでは、経済に関する少し専門的な知識や考え方を紹介していきます。


1.金利と景気について

 金利や景気という言葉は日常生活でもよく使われますが、様々な人が様々な意味で使っているので、人によって解釈がバラバラです。そして、フワッとした浅い知識や、間違った解釈をしている人も多いでしょう。ここでは、金利と景気について深く考えてみましょう。

1-1.金利はどこで発生する?

 金利というのは、お金を借りた人が、お金を貸してくれた人に払うお礼(追加のお金)のことです。その額は、貸し手と借り手の契約によって決まります。契約が結ばれさえすれば、どこでも発生します。

 具体的な例を挙げてみましょう。ローンを組んだ時は、長年かけて借りた額より少し多いお金を返済します。銀行にお金を預けておくと、一年ごとに少しだけお金が増えます。債券を買うと、最終的に買った額より少し多いお金が返済されます。このように、少し多めに返したり、金利とはいろいろなものの総称です。

 そして、金利は貸し手と借り手の間で自由に決めます、とはいっても、需要と供給の関係で、自然と決まっていきます。その時に重要になるのが、返済までの期間、金利の大きさです。この二つには深い関係があります。

 例えば、あなたが友達Aに「来週11万円返すから、10万円貸して」と言われ、友達Bに「5年後に11万円返すから、10万円貸して」と言われた時、どちらに貸しますか?ふつうはAに貸しますよね。5年先の話をされても、その時まで覚えてるか分かりませんし、Bと音信不通になっているかもしれません。

 では、友達Bに「5年後に15万円返すから、10万円貸して」と言われたら、どちらを選びますか?悩む人が出てくるでしょう。

 では、友達Bに「1年後に20万円返すから、10万円貸して」と言われたら、どうでしょう?Bを選ぶ人が多いと思います。

 という風に、基本的に期間が短い方が金利が低く、期間が長い方が金利が高くなります。

詳しくは、金利についてを参照してください。

1-2.「景気がいい」の意味を具体的に言うと?

 経済を考える上で、景気の良しあしは重要です。日常生活を送る中でも、景気がいいに越したことはありません。景気がいい悪いというのは、非常に抽象的な概念です。具体的に景気がいいとはどういう状態なのでしょうか?以下の表にざっとまとめました。

指標

好景気 不景気
購買量 増加 減少
生産量 増加 減少
企業業績 良好 悪化
賃金  増加 低下
失業率 低下 増加
金利 上昇 低下
物価 上昇 低下

詳しくは、景気の良しあしを参照してください。

1-3.金利と景気は循環する

景気がいいに越したことはありませんが、ずっと好景気というわけにはいきません。歴史的にも、そしてこれからも、経済は好景気と不景気を繰り返しながら、徐々に豊かになっていきます。そして、景気と密接に関連しながら、金利も大きくなったり小さくなったりを繰り返します。

どのように金利と景気が循環するのか、なぜ循環するのかについては、景気循環で説明しています。


2.金融商品全般について

今まで様々な金融商品や経済用語が出てきました。そしてこれからさらに多くのものが出てきて、頭がパンクしそうになります。

そこで、この辺りで、それぞれがどのような関係にあり、どう影響し合っているのか整理しておきましょう。

2-1.金融商品の相関図

 金融商品は、お互いに影響し合いながら、価格が変動しています。また、景気や金利、自然災害といった要因によっても、値上がりと値下がりを繰り返しています。その関係性を知っておけば、今の経済や政治の状況から、今後金融商品の価格はどうなるのかを予測するのに役立ちます。また、突然状況が変化したときに、そのように対処すべきかを判断するのに役立ちます。

 これまで出てきた、株式、債券、不動産、為替取引(FX)について、それぞれがどのように関係しているかを金融商品の相関図にまとめました。また、景気や金利や災害などの要因によって、それぞれがどのような影響を受けるのかも解説しています。簡単にまとめると、以下の表のように変化しますので、覚えておきましょう。

要因 株価

債券価格

不動産価格 物価
好景気 
不景気
利上げ
利下げ
災害 金↑

2-2.為替と金融商品の関係

 為替は様々な要因で大きく変動します。また、為替の変化はほとんどすべての金融商品の価格に影響を与えます。海外の金融商品を買おうとしている人は、為替が何に影響を受けるかと為替が他の金融商品に及ぼす影響を把握しておきましょう。また、日本の金融商品だけを買おうとしている人も、為替と無関係というわけにはいきません。経済のグローバル化が大きく広がった今、他国での変化が為替に影響を与え、間接的に日本の経済や金融商品の価格にも影響を与えるのです。

 為替はどのような要因で変化するのか、為替の変化が金融商品のどのような影響を与えるのかを為替と金融商品の関係にまとめました。簡単にまとめると、以下の表のようになりますので、覚えておきましょう。

  • 好景気→円の価値が上がる
  • 輸出が増加→円の価値が上がる
  • 物価が上昇→円の価値が下がる
  • 金利が上昇→円の価値が上がる
  • 公開市場操作で円の価値を操作
  • 為替介入で為替を操作
  • 自然災害→基本的に円の価値が下がるが、例外あり
要因 日本株全体 輸入企業 輸出企業 不動産
円安  
円高  

2-3.その他の金融商品

 株(および投資信託)、債券、不動産、商品、為替(FX)について説明しました。しかし、世の中にはまだまだいろいろな金融商品があります。よく聞くものをした表にまとめました。

不動産

土地や建物。土地の値上がりや、家賃などで利益を得る。
REIT  不動産を対象とした投資信託。 
ETF 株式上場した投資信託。
仮想通貨 中央の管理者が存在しない、ネットワーク上の資産。
貴金属。昔から価値のあるものとして扱われ、有事の際の資産として人気がある。
外貨 外国の通貨。日本円の価値が下がった時のリスクヘッジになる。
MRF 証券口座における普通預金のようなもの。
MMF 証券口座における定期預金のようなもの。
デリバティブ 金融商品自体から派生した商品の総称。

詳細は、その他の金融商品で紹介しています。


3.株について

3-1.株の注文の仕方

 株は需要と供給の関係で値段が決まるという話をしました。ということは、株を購入する場合は、自分で買う値段を決めなければなりません。また、株を売る場合も自分で売る値段を決めなければなりません。そして、「いくら以下になったら買う」とか、「いくらでもいいから今日中に買う」などという設定ができます。まずはどのような注文の仕方があるか、株の注文の仕方で解説します。簡単にまとめると、以下の二つの方法があります。

・指値注文

 〇〇円以下なら買い、〇〇円以上なら売り、というように金額を指定して注文する

・成り行き注文

 価格はいくらでもいいから、すぐに買い、すぐに売りというように注文する

3-2.株価の決まり方

 大勢の人が、成り行き注文や指値注文を行った結果、最終的に買う人と売る人での価格が決まり、売買が成立します。その価格が決まるプロセスを知っておかないと、思ってもみない形で取引が成立してしまったり、取引したいのにできない状態が続いたりします。その仕組みについて、もう少し詳しく説明します。株価の決まり方を参照してください。簡単にまとめると、以下の二つの方式があります。

・板寄せ方式

 市場の開始時、終了時に、大量の注文を効率的に約定させ、市場価格を決めるための方式。

・ザラ場方式

 市場が開いている間に出される注文を、即座に約定させて処理するための方式。

3-3.株価指標の見方

 

 ある企業の株価が将来どうなるかを予想する材料として、様々な情報を活用します。例えば、その会社の今の利益に比べて株価は高いのか低いのか、資金状態に比べて株価は高いのか低いのか、株主への還元は十分なのか、などです。これによって、今の株価が適切なのかが把握できますし、将来の見通しについても予想ができます。こうした情報を、「個別銘柄の株価指標」と呼ぶことにしましょう。

 

 一方で、特定の企業の株価の動きがどうなっているのかを見ることで、経済全体の動きが大局的に把握できます。例えば、製造業全体の株価はどう推移しているのか、日本の株式市場全体は好調なのか不調なのか、米国の市場に比べてどうなのか、なのです。マクロな目で見ることで、その業界や国の現状、そして今後が予想できます。こうした情報を、「株価指数(インデックス)」と呼びます。

 

個別銘柄の株価指標、株価指数(インデックス)について、詳しくは、株価指標の見方で解説します。


4.外貨について

外貨を保有しておくメリットとしては、為替差益、高金利、リスク分散が挙げられます。

保有方法としては、外貨預金、外貨MMF、FXが挙げられます。

詳しくは、外貨についてを参照してください。

個人的意見ですが、簡単にまとめると、どれを選ぶかは以下のような感じです。

リターンは少ない代わりに、リスクを限りなく抑えたい人 →外貨預金

リスクを取って、短期間に効率的にキャピタルゲインを得たい人 →FX

外貨投資商品のための待機資金を効率的に運用したい人 →外貨MMF


債券について

新発債は、特に詳しくは説明しません。

既発債は、市場の需供で価格が決まると話しました。債券価格は、金利と密接に関係しています。金利と債券価格で説明します。


不動産について

不動産投資と言っても様々な種類があります。サラリーマンが副業としてできそうな不動産投資の種類の中で、代表的なものは以下です。

・区分マンション

・一棟アパートマンション

・戸建て

・REIT

・民泊

・駐車場

 不動産は、定常的に大きな利益を得られますが、初心者が手を出せるものではありません。特に、区分マンション、一棟アパートマンション、戸建ては、一つの不動産を購入するのに大きなお金が必要ですし、リスクも高いです。また、手続きも複雑になる場合が多いですし、購入した後も不動産自体のメンテナンスなどを行う必要があるので、投資に慣れてきて、資産も増えてきてから手を付けるべきです。民泊や駐車場も、建物や土地を持っていない人は始められません。

 投資初心者が手を付けれそうな不動産の投資信託:REIT(Real Estate Investment Trust)です。株や債券の投資信託と同じく、専門の運用会社が、複数の不動産に投資し、多数の投資家がみんなで分配してその投資資金を出す仕組みです。そして不動産投資で得た利益を、運用会社や投資家で分配します。売買方法も投資信託とほとんど同じで、少額から始められます。