株価指標の見方

株価指標には、①市場全体の状況を示すものと、②個別銘柄を分析するために使うもの、があります。前者で代表的なものは、「ダウ平均」や「日経平均」などで、これらを株価指数(インデックス)といいます。後者で有名なのは、「PER」や「PBR」などで、これを個別銘柄の株価指標と呼ぶことにします。

 

①株価指数(インデックス)

市場全体の状況を表すためには、それぞれ個別の銘柄を見るのではなく、全体的な株価の上下を把握する必要があります。株式市場は世界中にありますが、その全体を見ようとしても数が膨大ですし、範囲が広すぎてあまり参考にはなりません。そこで、特定の市場や、主要な銘柄を抽出して統計を取った数値が用いられます。特に重要なものは、米国の市場を対象としたダウ平均とS&P500、日本の市場を対象とした日経平均とTOPIXです。これらは、インデックスと呼ばれます。

 

②個別銘柄の株価指標

個別銘柄を分析するうえで、まずは株価と、時価総額を把握しておく必要があります。時価総額とは、株価と総株式数の積で表せ、会社の価値をお金で換算した数字になります。

時価総額 = 株価 × 総株式数

時価総額が大きいほど、価値の大きな会社であると判断できます。しかし、それだけでは株を選べません。

株式を選ぶためには、その会社の経営状況と現在の株価の比較をする必要があります。会社と株価を比較した指標を株価指標といいます。代表的なものにはPER(Price Earnings Ratio:株価収益率)とPBR(Price Book-value Ratio:株価純資産倍率)があるので、後で説明します。また、ROE(Return On Equity:自己資本利益率)や、配当性向(配当利回り)という指標も重要なので後述します。


株価指数(インデックス)

米国の株価指標 全米株式 S&P500 ダウ平均 ナスダック100

全米株式(CRSP US Total Market Index)は、米国のほぼすべての上場株式約4000社の時価総額加重平均です。

S&P500は、米国の株式市場に上場している銘柄のうち、代表的な大型株500銘柄の時価総額の合計を、基準期間(1941~1943年の平均)で割った数値です。より多くの銘柄を母数としているため、市場全体の変動をとらえやすくなっています。時価総額が大きい企業の値動きに影響を受けます。

ダウ平均は、米国の株式市場に上場している銘柄の中で代表的な30銘柄の株価の平均値です。"代表的な"というのは明確な基準はありませんが、各業種からバランスよく、長期的に安定して成長している優良企業を意味します。選出される銘柄は世界的にも有名な大企業ばかりで、定期的に見直しが行われるため、ダウ平均の銘柄に選出されていること自体が優良株の証といえます。母数が少ないこともあり、株価が高い銘柄の影響を強く受けます。

ナスダック100は、米国のナスダック市場(ハイテク・IT関連が中心)に上場する企業の内、時価総額上位100銘柄の時価総額加重平均です。今後の成長が期待される企業がたくさんある一方、新興企業も多いため、値動きの激しいインデックスといえます。

  構成銘柄 構成銘柄数 安定性 成長性
全米株式  上場株式 約4000
S&P500 代表的な大型株 500
ダウ平均 安定した超大型株 30 ×
ナスダック100 ハイテク・IT株 100 ×

日本の株価指標 TOPIX 日経平均225 JPX日経インデックス400

TOPIXは、東証一部に上場している全銘柄(2000以上)の時価総額の合計を、基準日(1986/1/4)の合計で割った数値です。市場全体の値動きをとらえ、時価総額が大きい銘柄の値動きに影響を受けます。

日経平均225は、東証一部に上場している銘柄の中で代表的な225銘柄の株価の平均値です。何をもって"代表的な"とするかというと、各業種からバランスよく、流動性の高い(売買が頻繁に行われる)という二点を基準としています。株価が高い銘柄の値動きに強い影響を受けます。

JPX日経インデックス400は、東証一部に上場している銘柄の中で、資本の効率的活用や、投資家を意識した経営ができている企業を400社選定し、その値動きに連動した指数。

  構成銘柄 構成銘柄数 安定性 成長性
TOPIX 上場株式 約2000
JPX日経400 選定された株式 400
日経平均 安定した超大型株 225 ×

日経平均は対象銘柄が少なく、値がさ株の影響を強く受けます。電気機器や小売りの影響が大きく、銀行の影響が小さい。

TOPIXは対象銘柄が多く、時価総額が大きい株の影響を強く受けます。銀行などの影響が大きい

こちらのサイトで、業種別のチャートが見れるので便利です。

製造業などの銘柄に期待するならば日経平均225、資本効率や投資家優先の経営に注目するならJPX日経400、それ以外ならTOPIXという感じでしょうか。

ダウ平均と日経平均は、株価の平均を取っている(株価平均)という意味で似たような指標といえます。また、S&P500とTOPIXは、時価総額の合計金額の比較(加重平均型)という意味で似たような指標といえます。

その他にも多くの株価指数がありますが、基本的に株価平均型か加重平均型です。対象とする市場や、選出する銘柄の種類や数が異なるため、様々な指標が存在します。


個別銘柄の株価指標

PER

PERを知るためには、EPS(一株当たり利益)という指標を知っておく必要があります。EPSは、会社の利益を総発行株式数で割った値です。

EPS = 利益 / 総発行株式数

一株当たりの利益は、当然高い方がいいですが、そういう株は高い値が付きます。そこで、会社の利益と現在の株価を比較するために使われる指標がPERになります。PERは株価をEPSで割った値です。

PER = 株価 / EPS = 株価 × 総株式数 / 利益

つまり、PERは時価総額を利益で割った数字でもあります。PERは10~20が平均的なところで、値が低い方が割安な株といえます。しかし、業種によって大きく数字が違いますし、今後利益が増えていくことが期待できる成長株の場合は高い数字となります。あくまで参考として、同業種で比較する場合や、異常な数字になっていないか確認する程度に用いましょう。

PBR

PBRを知るためには、BPS(一株当たり純資産)という指標を知っておく必要があります。BPSは、会社の純資産を総発行株式数で割った値です。

BPS = 純資産 / 総発行株式数

純資産が多い方が安定した経営ができていると判断できます。また、会社が解散した際は、純資産を株主に分配するので、変換される金額の目安になります。会社の株価と純資産を比較するために使われる指標がPBRになります。PBRは株価をBPSで割った値です。

PBR = 株価 /BPS = 株価 × 総株式数 / 純資産

つまり、PBRは時価総額を純資産で割った値になります。会社が解散した場合、PBRが1以下だと株価以上の金額が分配されることになるので、通常はありません。おおよそ1~2倍くらいです。会社ができて間もない時や、積極的に事業を拡大しているときは高い数字になります。

ちなみに、初級知識で、ROE(自己資本利益率)を説明しました。厳密には微妙に違うのですが、ROE = PBR / PERとも表せます。

配当性向(配当利回り)

配当性向とは、利益のうちどれぐらいの割合を配当に回しているかを表す指標です。1株当たりの配当をEPS(一株当たりの利益)で割って100掛けした%で表されます。

配当性向(%) = 一株当たり配当 / EPS × 100

配当性向が高く、長期間安定している方が株主としては望ましいです。しかし、利益を配当に回さずに次なる投資に回し、より大きく成長しようとする企業もあるので、会社がどういう方針で配当額を決めているかを踏まえて比較する必要があります。

同じような指標として、配当利回りというものもあります。これは1株当たりの配当を株価で割って100掛けした%です。

配当利回り(%) = 一株当たり配当 / 株価 × 100

投資した額に対しての見返りの報酬が分かるので、投資家としてはこちらの方が重要な指標といえるかもしれません。配当利回り5%の場合、これが20年続けば(たとえ株が紙切れになっても)元が取れたことになります。

財務諸表

損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CS)

 

損益計算書

会社の売り上げや利益などの稼ぐ力を表したもの

売掛金や買掛金など、現実にお金が出入りにタイムラグがあったり、確実ではなかったりする。

 

売上 〇〇
費用  △△ 
利益 〇〇-△△

 

貸借対照表

会社の安定性や資金力を表したもの

現金化できるのが一年以上先だったり、現金で返さないといけないのが一年以上先だったりする。

 

資産の部 負債の部

流動資産

 

固定資産

 

 

 

流動負債

固定負債

純資産
 

キャッシュフロー計算書

会社のお金の巡りを表したもの。現金の動きをリアルタイムで見れる。

「営業活動」「投資活動」「財務活動」

営業活動 プラスであればあるほどいい
投資活動  成長するためにはマイナスになる 
財務活動 営業活動が大きくプラスならマイナス、投資活動が大きくマイナスならプラス
残高 ある程度プラスであればいい