為替と金融商品の関係


為替は多くの要因によって変動します。また、為替の変動は他の金融商品への多くの影響を及ぼします。

ここでは、為替が変動する主な要因である、金利差、物価変動、通貨流通量(為替介入)、貿易収支について説明します。

また、為替が株価、不動産価格に及ぼす影響について説明します。

為替が変動する要因

為替が動く要因 リンク

 

○景気

日本の景気がいい → 日本は投資先として好ましい → 日本の投資商品を買うために円買いが増える → 円の価値が上がる

日本の輸出が増加 → モノを売ったことで外貨が大量に手に入る → 日本企業は大量の外貨を円に交換 → 円の価値が上がる

日本の物価が上昇 → 今まで100円で二つ変えていたお菓子が、一つしか買えない = 円の価値が下がった

 

○金利

日本の金利が上昇 → 他国の人が日本円をたくさん保有しようとする → 円の価値が上がる

 

○政治

世の中に出回っているお金の量は、実は日本銀行によってコントロールされています。日本銀行は、大量の株式や債券を保有しています。この株式や債券を売れば、日本中のお金が日本銀行にあつまり、市場に出回っているお金は減少します。逆に購入すれば、日本銀行のお金が市場に出回ります。また、日本銀行は外貨を大量に保有しており、政治判断で売買することもあります。 

・公開市場操作

 日本銀行が大量の株式や債券を買う → 日本円が世の中に出回る → 円の価値が下がる

・為替介入

 日本銀行が大量の外貨を買う → 外貨の出回っている量が減る → 外貨の価値が上がる(円の価値が下がる)

また、ロシアへの不信感からロシア通貨を売る動きが加速して、相対的に安全だと思われる米ドルや日本円価値が上がるように為替が変動します。

 

○災害

日本で災害が起こると、日本経済の先行きが不安で円の価値が下がる、と思われがちですが、そうとも限らないのが為替の面白いところです。例えば阪神淡路大震災や、東日本大震災の直後、急激な円高が発生しました。理由としてはまず、保険会社が保険金支払いのために大量の円を用意する必要があるため、外貨を打って円を買う動きが起こるためです。また、海外に展開している日本企業は、自社の被災した設備や工場などの立て直しのための資金を用意するため、外貨を売って円を集めます。日本政府も、復興のための資金を集めるため、大量の円を買い戻します。このようにして、急激な円高が発生しました。

 とはいっても、長期的には円安に動く傾向にあります。また、日本よりも経済が貧弱な国では、通貨の価値が下がることがほとんどです。

為替が及ぼす影響

為替の変化によって、株価は大きく変動します。ここでは、どのように変動するかを解説します。ここでは、日本経済全体で見た時の為替の影響と、個別銘柄で見た時の為替の影響を解説します。

日本経済全体で見た時(例えば日経平均など)を考えてみましょう。

景気は変わらないにもかかわらず、他の要因で円安になったとしましょう。その場合、海外投資家からすると日本株が割安となり、海外投資家の日本株買いが増えます。また、日本の投資家からすると、海外の株が割高になるので、やはり日本株買いが相対的に増えます。どういうことが、具体的に解説しましょう。

昨日まで1ドル100円だったのが、今日円安に大きく動いて1ドル120円になったとしましょう。このとき、100円のA社の株は、昨日まで1ドルでしたが、今日から(100円÷120円=)0.83ドルになります。海外投資家からすると、A社の株が1.00ドルから0.83ドルに値下がりしたようになるのです。そのため、値下がりしている今のうちにA社の株を買おうとする動きが起こります。逆に、日本人からすると、昨日までアメリカのB社の株が100円だったのに、今日から120円に値上がりしたように感じられるのです。なので、高くなったアメリカ株より、日本株を買おうとなるのです。

 

円高になると逆のことが起こります。割高になった日本株を、今のうちに売っておこうとする動きが発生するとともに、日本株買いを敬遠する人が増えます。したがって、日本株は値下がりする傾向になります。

 

しかし、ここで注意が必要です。為替変動の原因が景気にあるのであれば、状況は異なります。たとえば、日本経済全体が落ち込んで、日本円を持っている人が大量に円売りをしたせいで発生した円安の場合、日本株が値下がりしていたように思われても、それ以上に日本株の価値が下がっていると判断されるならば、日本株買いは発生せず、日本株の値上がりは起こりません。

つまり、金利差の影響などによって引き起こされる為替の変動に関しては、以下が成り立ちます。

円安 → 日本株が割安 → 日本株買いが発生 → 日経平均は上昇

円高 → 日本株が割高 → 日本株売りが発生 → 日経平均は下落

日本の個別株への影響を考えてみましょう。

日本の会社は、大きく分けて、輸入を主とした会社、ほとんど国内で完結する会社、輸出を主とした会社に分けられます。

輸入を主とした会社は、円高の場合、輸入先に払うお金が減るので、資金繰りが良くなり、景気が良くなることが多いです。したがって、株価も上がります。逆に円安になると、資金繰りが悪くなり株価が下がります。

 

一方、輸出を主とした会社は、円高の場合、海外で製品を売る時の価格が高くなるので売れ行きが悪くなり、景気が悪くなるなることが多いです。したがって株価も下がります。逆に円安になると、製品を売る時の価格が安くなるので売れ行きが良くなり、株価が上がります。

 

日本は輸出企業の方が多いので、日本全体で見た時、円高になると株価が下がり、円安になると、株価が上がります。

とまあ、学校でも習う話ですが、そこまで顕著には効いてないと思われます。為替による業績の変動を防ぐため、多くの企業が為替の予約を行っているからです。

 

不動産価格への影響を考えてみましょう。

日本円の価値が低くなる、つまり円高になれば、日本株は上昇、日本の土地も上昇