金利と債券価格

金融商品の相関図の章で、以下の図を示しました。金利が上昇すると、わざわざリスクを取って債券を買わなくても、銀行にお金を預けておくだけでお金が増えるので、債券の人気が下がることを説明しました。ここでは、金利と債券の関係について、もう少し詳しく見ておきましょう。

金利が金融商品に及ぼす影響

債券の人気が下がると、債券を買おうとする人が減って、既発債の価格が下がります。では、どこまで価格が下がりそうでしょうか?

債券は、決まった日に、決まった価格が受け取れるというものでした。既発債の購入金額が下がった場合、最終的に受け取れる金額は変わらないので、より安く仕入れて高いお金を得られるということになります。つまり、債券の利回りが高くなるのです。債券の価格が下がれば下がるほど、利回りは高くなります。その利回りが銀行の金利より高くなれば、どこまで預金より債券を選ぶ人の方が上回るはずです。その時点で債券の値下がりは止まるはずです。

ということは、ほぼノーリスクと考えてよい国債であれば、理論上は金利と債券の利回りはほぼ一致するはずです。

上で述べた話は、あくまでの短期間(1か月や半年)での話です。10年後にお金を受け取れる債券の場合、これから10年間の金利と、債券の利回りがどちらが上かを比較することになります。つまり、投資家としては、今後数年間の金利がどうなるかを予想して、(ほぼノーリスクの)国債を買うかどうかを判断することになります。逆に言うと、国債の売買価格、つまりは利率が、投資家たちの今後の予想の総意を意味していると考えることもできます。投資家たちが、今後数年間で金利が上がると予想しているのならば、長期の国債の価格が下がる(利回りはあがる)でしょうし、金利が下がると予想しているならば、長期の国債の価格が上がる(利回りは下がる)でしょう。

まとめると以下です。

短期国債の利回りは、市場金利に一致する。

長期国債の利回りは、投資家たちの将来の金利の予想値に一致する。