金利について

 金利は、お金の貸し手とお金の借り手の二者間で発生し、その大きさは自由に決まります。そして、金利といってもその種類は多岐に渡ります。この章では、以下の流れで金利について学びましょう。

  • 金利の相関図
  • 金利に関する用語
  • 名目金利と実質金利
  • イールドカーブ

金利の相関図

 金利はどのようなところで発生するのか、具体的に考えてみましょう。 

 あなたは、銀行や郵便局などの金融機関に預貯金をしているはずです。それはつまり、金融機関にあなたのお金を貸しているということです。したがって、年間にわずかですが、預貯金の金利という形でお金を受け取っている(預貯金額が増えている)はずです。これは預貯金の金利です。

金利について 預貯金の金利

 逆に、急に資金が必要になった場合は、金融機関からローンを受けることがあるでしょう。例えば、家のローンなどです。その場合は、数年かけて少しずつお金を返すことになります。そしてトータルで見ると、始めに借りた額以上のお金を返すことになるはずです。これはローンの金利です。

 

金利について ローンの金利

 自動車を買った場合、自動車販売会社からローンを受けることもあるでしょう。数年かけて受け取った額以上のお金を払うはずです。

もしあなたが国債を買ったならば、決まった年数後にプラスでお金が返済されるはずです。

親からお金を借りた場合など、もしかしたら金利が発生しないケースもあるかもしれません。

金利について3

 

 さらに、金融機関を中心に考えてみましょう。前述のとおり、あなたとローンや預貯金の金利が発生します。

 企業に融資した場合は、数年かけて余分にお金を返還してもらいます。さらに、中央銀行(日本銀行)ともお金のやり取りをします。特に、日本銀行から借りた時に返さなければならない金利のことを「基準割引率および基準貸付利率」というので覚えておきましょう。

このように、現代社会においては、金利の種類は無数にあります。

金利について 金融機関

金利に関する用語

金利は二者間でのお金の貸し借りがあれば発生します。そして、その契約によって金利にはいろいろなパターンがあります。ここでは、用語解説という形で、金利の特徴の分類を説明します。例えば、私があなたにお金を貸してくれるとして、どういう取り決めをしますか?

まずは、いつまでに返済するのか。金利はいくらにするのか。基本的に、返済までの期間が長い方が、高い金利になります。

 

・短期金利

期間が一年以内の金融商品に適用される金利のこと。代表的なものは多数あるので省略。

 

・長期金利

期間が一年を超える金融商品に適用される金利のこと。主に10年国債の利率のこと。 

 

・固定金利

契約時から満期まで一定の金利

 

・変動金利

契約期間中に変動する金利

 

・名目金利

数字の上での金利

 

・実質金利

物価の予想変動を加味した実質的な金利

 

 

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名目金利と実質金利

 今までさんざん金利と言ってきましたが、基本的に名目金利のことを指します。投資商品の紹介で"金利〇〇%"とうたわれている場合も、基本的には名目金利のことです。

 しかし、実際の生活の上では問題が生じます。例えば、今100万円を貸して、10年後に110万円を返してもらう契約をしたとします。10万円の利益のはずです。しかし、10年の間に物価が20%上がったとしましょう。いままで100円で変えていたパンが、120円出さないと買えなくなったといいうことです。この場合、貸したお金でパンが1万個変えていたはずですが、10年後に返ってきた110万円ではパンが9千個ちょっとしか買えません。お金を貸してあげていたのに、損をしていることになってますよね。

 つまり、実生活を考える上では、物価の上昇率も考慮しておく必要があります。とはいえ、10年後の物価がどれだけ上がっているかなんて正確に分からないので、物価上昇の予測値を使うしかありません。その物価の上昇分を差し引いた金利が、実質金利です。以下のような簡単な式で表されます。

実質金利 = 名目金利 - (予想の)物価上昇率

上記の例で言うと、

実質金利 = 10% - 20% = 10%

となります。

なので、あらかじめ物価の上昇率が分かっていたのであれば、上記のようなお金を貸す契約はすべきではないと分かります。


イールドカーブ

短期金利と長期金利について説明したので、イールドカーブについて説明しておきます。

あなたは100万円持っています。

債券Aは、100万で買えば一年後に101万が受け取れます。

債券Bは、100万円で買えば二年後に102万円が受け取れます。

あなたはどちらを買いますか?

多くの投資家は債券Aを選びます。どちらも年率1%の利回りですが、債券Bは倍の期間100万が手元からない状態が続きます。期間が長い分、債券の発行元が破綻する可能性も倍です。そして、今後二年の内に社会情勢が変わったり、もっと魅力的な商品が出てくるかもしれませんが、その間身動きが取れなくなります。そして、物価上昇によって実質金利がマイナスになっているかもしれません。債券Bの方がリスクが大きいのです。

 

 

では、

債券Cは、100万で買えば二年後に104万円を受け取れます。

投資家としては、債券AとCのどちらを買うべきでしょうか?

これは、人によって、そしてその時の状況によって意見が分かれると思います。

Aは年率1%でリスクが低く、Cが年率2%でリスクが少し高いです。リスクを低くするか、リスクを取ってリターンを求めるか、戦略次第です。

 

債券Dは、100万で買えば10年後に110万受け取れます。

債券Eは、100万で買えば10年後に130万受け取れます。

A~Eのどれを選びますか?

Dは期間が長いのに年率1%しかないのでCより劣っています。

Eは期間が長いので年率3%もあり、魅力的です。

 

つまり、短期間の利回りは低く、長期間の利回りは高くなる傾向にあるということです。

 

イールドカーブの説明

実際は、利回りはある程度のところで頭打ちするので、期間と利回りの関係は以下のグラフのようになります。

この曲線が、イールドカーブと呼ばれます。