初級知識

 投資を始める前に最低限知っておくべき基本的な知識を解説していきます。より詳しく知りたい方は、適宜リンク先を参照しながら読み進めてください。


投資 初級知識

投資商品には何がある?


 投資商品には実に様々な種類があります。最も代表的なものは、株、債券、投資信託、FXです。

 

【株】

企業に投資し、事業から得た利益を還元してもらいます。株は会社ごとに個別に発行されていて、常に価格が変動します。ハイリスクハイリターンな商品です。

 

【債券】

国や企業にお金を貸し、決まった期日に貸したお金と利息を受け取ります。決まった額が安心して受け取れるので、ローリスクローリターンな商品です。

 

【投資信託】

複数の株や債券を組み合わせた商品です。具体的な商品の売買を専門機関に任せ、その機関に払う手数料を除いた分が自分の利益になります。ミドルリスクミドルリターンな商品です。

 

【FX】

各国が発行している通貨を交換する取引です。通貨の交換比率は常に変動するため、適切なタイミングで交換すれば利益を得られます。上記三つと違って、誰かが得をした分誰かが損をする仕組みなので、常に利益を出すのは難しいです。

 

 それぞれの特徴を活かしながら自分に合った配分で複数の投資商品を保有するのが一般的です。もっと詳しく知りたい方は、金融商品の種類を見てください。

投資 初級知識

二種類の利益 ーキャピタルゲイン/インカムゲイン


 投資で得られる利益は、"キャピタルゲイン"と"インカムゲイン"に分けられます。

 

【キャピタルゲイン】

投資商品を売買することで得られる利益のことです。株や投資信託の場合、買った時より高い値段で売ることができれば、その差額が利益になります。債権の場合も、買った時より高く売れれば利益になりますし、満期が来れば買った額に加えて利息を受け取れます。FXも、海外の通貨を買って、交換比率が有利になったタイミングで円を買い戻すと、その差額が利益になります。

 

【インカムゲイン】

投資商品を保有している間に定期的に受け取れる利益のことです。株だと配当金や優待がインカムゲインに該当します。投資信託でも、配当金を受け取れる設定の商品があります。債券だと毎年受け取る利子がインカムゲインです。FXでは金利の高い国の通貨を保有しておくと、その分の発行元の日本での預金よりも多くの利息が受け取れます。


二種類の分析 ーファンダメンタルズ/テクニカル


 どの商品を買うべきかを判断する手法は、"テクニカル分析"と"ファンダメンタルズ分析"に分けられます。

 

初級知識 ファンダメンタル分析 イメージ

 

【ファンダメンタルズ分析】

 ファンダメンタルズとは、簡潔に言うと「経済活動の状況を示す基礎的諸条件」です。つまり、国の経済や企業の業績を数値化したデータのことです。経済というものを数値化するのは無謀なように思えますが、どういった数値が経済状況を表すのに有効か検討されてきました。例えば、経済成長率やGDP(国内総生産)、売上高や営業利益などが有名です。詳しくは、ファンダメンタルズ指標で紹介しています。そのような指標を参考に、投資商品の本質的な価値を算出しようというのが、ファンダメンタルズ分析です。どの指標を使ってどのように分析するかは人それぞれなので、同じ環境でも人によって分析結果は様々です。

 ファンダメンタルズ分析によって利益を出す方法は主に二つです。一つは、実体よりも低く評価された投資商品を探し出して買っておく方法です。金融商品は投資家の需供によって値段が決まるので、心理的な影響などもあって不当に低く評価された金融商品が存在します。それを安いうちに買っておいて、将来的にその商品の価値が見直されて値上がりした時に売れば利益を得られます。

 もう一つは、投資商品の将来性や、経済や政治の今後の動向などを総合的に判断し、値上がりする投資商品を探し出して買っておく方法です。将来、その商品が本当に値上がりしたときに売れば利益を得られます。

 

【テクニカル分析】

 投資商品の値動きに注目します。値動きは、チャートと呼ばれる時系列グラフで表されます。詳しくはチャートの見方で説明しています。チャートの動きを見ていると、ただのランダムではなく一定の傾向が見られるように思えます。この動きに規則性を見出し、将来の変動を予想するのがテクニカル分析です。短期的な投資によく用いられます。

 テクニカル分析は、心理学的な手法とも言えます。価格が上がり続けるチャートを見れば、今後も上がると予想する人が多くなって購入注文が増え、実際に値段が上がります。また、テクニカル分析の教本では様々なパターンが解説されていて、多くの人が実際にそのパターンを参考に取引しています。「これは上がるパターン」と書かれてあれば、それを見た多くの人が買いに走って価格が上昇し、「これは下がるパターン」と書かれていればその逆の現象が起こります。卵が先か鶏が先かの議論のようですね。

 テクニカルかファンダメンタルズか、この二種類の分析方法のどちらかを選択するわけではなく、両方を考えつつ投資を行うことが重要です。


どんな費用がかかる?


 投資商品を買うお金はもちろんですが、それ以外にも費用がかかります。

 

 まずは税金です。投資で得た利益のうち、2割は税金として徴収されます。かなりの痛手です。ところが、今はかなりお得な制度があります。皆さん一度は聞いたことがあるはずのNISAやiDeCoです。年間の上限金額や、期間の制限はあるものの、投資で得た利益が非課税になります。絶対に利用した方がいいです。

 

 投資商品を売買する時には、手数料が必要になります。手数料が無いと、証券会社の儲けがありませんから仕方ないです。投資商品ごとに手数料が違いますし、同じ商品でも証券口座が変われば手数料が変わってきます。頻繁に売買を繰り返す投資スタイルだと、手数料で損失が膨らむことがあるので注意が必要です。ネット証券は手数料が低く抑えられていて、無料で取引できる場合もあるのでお勧めです。

 

 投資商品を保有している期間中にかかる費用もあります。投資信託を例にとりましょう。投資信託は運用会社が商品を選んで売買してくれているのでコストがかかっています。その分が信託報酬という形で継続的に引かれていきます。不動産の場合でも、管理費用や税金などでかなりの額の費用が掛かってくるでしょう。

 

 こうした費用を差し引いた後でも利益を上げられるような投資を継続しなければなりません。

投資 初級知識 リスク

避けられないリスク


 預貯金より高い利益が見込まれる投資ですが、損をする可能性があるリスクがあります。

 株の場合、企業の業績が悪くなると株価が下がり、倒産してしまうと価値がゼロになります。債券の場合、発行元が破綻すればお金は戻ってきません。FXの場合、自分が保有している外貨の価値が下がることがあります。

 一般に、高いリターンが狙える商品ほど、リスクが高くなっています。

 

ひとまとめにリスクといいましたが、リスクにも種類があります。

 

・経済全体のリスク

経済というのは好景気と不景気を繰り返しながら成長していくので、投資商品の価格もその動きに連動するように変化します。長期的には値上がりしていきますが、部分部分を切り取れば投資商品の価格は大きく変動します。

 

・国ごとのリスク

どこかの国で問題が起これば、その国全体の経済が悪化します。ロシアのウクライナ侵攻によって、ロシア全体の経済が低迷したことが代表的な事件といえるでしょう。たとえ企業の業績が良くても、国の動向次第で投資商品の価値は変動します。

 

・業種のリスク

特定の業種が同時にダメージを受けることがあります。新型コロナの蔓延によって、観光や飲食業界が業績悪化を余儀なくされたことがいい例です。こうした外乱は、どんなに優秀な企業であっても影響を受けざるを得ません。

 

・個々の投資商品のリスク

個々の企業や団体、商品そのもののリスクもあります。例えば、組織のトップの不正が発覚したり、サイバー攻撃で業務が停止するといったことは頻繁に起こっています。こうした突発的な出来事を投資家が予見するのは困難です。

 

投資商品はこうした多くのリスクを、何重にも背負っているのです。

 

 ネガティブな話が続いてしまいましたが、リスクを限りなく低くするための手法があります。①投資対象を分散すること、②投資時期を分散すること、③長期的に投資するすること、です。これらのやり方は、短期間での莫大な利益を諦める代わりに、長期的に堅実に利益を積み上げていこうというやり方です。ゲームなら一発当てることを狙った方が楽しいですが、人生はそうはいきませんからね。継続して安定的に利益を出すことを目指しましょう。


リスクを下げる① →対象分散


 投資商品には様々な種類があり、それぞれが異なった価格変動をしています。株Aと株Bと株Cを保有していて、Aが大幅に下がってもBとCが値上がりすれば損失を少なくできます。株と債券と土地は異なる値動きをすることが多いので、それぞれを保有していれば大きな損失を回避できます。それぞれの変動を打ち消し合って平準化することで、大きな損失を回避できるのです。もちろん、投資対象を増やせば増やすほど、大きな利益を得られる可能性は低くなります。

 

 重要なのは、それぞれが無関係or反対の値動きをする商品を保有しておくことです。同じ値動きをする商品を複数保有しているだけだと、それらすべてが値下がりしてなんの効果もありません。

 

 海外の投資商品を購入するというのもリスクを分散する方法です。海外の商品も、日本の証券会社で購入することができます。バブル崩壊以降、日本の景気は芳しくありませんが、アメリカは安定して経済成長しています。欧米を中心とした先進国や、これからの成長が期待される新興国も投資対象になります。地域ごとに経済状況も異なるので、複数所有しておけばそれらの変動を均すことができます。実は、日本国内の商品だけ保有しているというのはリスクが高い状態なのです。

 

 こうした様々な商品を組み合わせることでリスクを分散させることができます。その配分のことをポートフォリオといいます。ポートフォリオは個人の経済状況やライフプランによって異なりますし、性格や考え方によっても様々です。投資のプロにとっても、特定の金融商品が今後どういう値動きをするのか当てるのは非常に難しいです。なので、どの商品を選ぶかということ以上に、どういうポートフォリオにするのかということの方が重要なのです。


リスクを下げる② →期間分散


 売買の時期を分散させれば、高値で買って安値で売ってしまうリスクも限りなく小さくなります。「値上がりしそうだったから大量買いしたのにそこから暴落した」「値下がりしそうだったから大量売りしたのにそこから高騰した」というのはよくある話です。

 

 そういったリスクは、時間をかけて段階的に投資を行うことで軽減できます。定期的に一定額を購入するドルコスト平均法が最も有名です。商品の値段が高い時は少なく、値段が低い時は多く購入できるという手法で、トータルでは安い値段でより多くの商品を購入できます。また、はじめにルールを決めておけば毎回自動で購入ができるので、余計な時間をとられずに済みます。

 

 確実に今後は値上がりするというときは、手持ちの資金で一括買いした方が、当然値上がり後の利益は大きいです。しかしながら、投資の世界で絶対ということはありません。その絶対を待っていたら、何年間も無駄にすることでしょう。そうしている間にも、他の人はコツコツと投資しているはずです。

 

 売るときも同様に、期間を分散させた方がリスクを低減できます。ただ、買うときに用いたドルコスト平均法は、売るときには逆に作用するので避けるべきです。自分で判断して売却していくか、定期的に一定の口数を売却していくのがいいでしょう。


リスクを下げる③ →長期投資


 短期的には上下する金融商品の価値ですが、長い年月で見るとその傾向はある程度収束してきます。毎日の気温は上下しますが、一年を通しての気候に規則性があるのと同じです。すべての金融商品は、誕生してから現在までの間、価値が上昇してきました。そしてこれからもその傾向が続くはずです。また、複利効果によって、一年間の利益が少なくとも長い時間をかけることで最終的に大きな利益を得ることができます。

 

 長期投資とは何かを理解するためには、それ以外の投資方法を知っておく必要があります。投資商品を保有する期間によって、以下のように分類できます。

【中長期投資】:数年から数十年保有。ファンダメンタル分析や市場環境全体を考慮しながらの投資。

【スイングトレード】:数日~数週間保有し、適切な時期を判断して売買。対象は、FXや株、投資信託。ファンダメンタル分析やテクニカルのトレンド分析など、様々な視点で判断。

【デイトレード】:一日で売買を終了(日をまたぐと予想外の値動きをすることが多いため)。FXや値動きの激しい株式が対象で、主にテクニカル分析。

【スキャルピング】:数秒~数分の間に売買を繰り返す。主にFXで用いられる手法で、常にチャートを見ながら瞬時に判断。テクニカル手法のみ。

 

 短期間に集中して大きな利益を得られるのはスキャルピングですが、長時間拘束されるのと、特別な才能が無いと安定的に利益を上げるのは難しいです。副業として堅実に資産を増やすなら、長期的な投資がいいでしょう。

 ここまで読んでいただいてありがとうございました。以上が初歩的な知識になります。ますます投資に興味が出てきた方、今すぐにでも長期投資を始めたいと思っている方は、引き続き投資を始めよう!に進んで、実際に投資をスタートしましょう。