チャートの見方

 投資商品の価格変動を予測するために重要なチャートの見方を説明します。投資をしたことない人でもニュースやネットなどで一度はチャートを見たことがあるでしょう。例えば、Kabutan(https://kabutan.jp/stock/chart?code=0000)などで、日経平均のチャートが見れます。

 一例を下図に示します。横軸が時間で、縦軸が株価です。時間の経過とともにどんどん株価が上昇しているのが分かります。

日経平均 チャート

 もっと注意深く見てみましょう。一番低いところから順調に上昇していったん下がり、また順調に上昇していったん下がり、さらに上昇していったん下がっています。そして、最後に少しだけ上がっているのが分かります。この後どうなると思いますか?

 4回目の上昇が起きるような気がしますね。

テクニカル分析 チャート

 しかし、現実は違いました。4回目の上昇は起きず、微妙に上下しながらも大きな変動は起きませんでした。うーーん、難しいです。こういった値動きをチャートの形から予測しようというのがテクニカル分析です。

テクニカル分析 チャート

 本当にそんな予測ができるか疑わしいですよね。はっきり言ってテクニカル分析は、科学的/経済学的な裏付けがある理論ではありません。しかし、あながち間違った理論とも言い切れないのです。

 二回目の上昇が起こった直後は、「次もまた上昇が起こるはずだ」と考えた人が大勢いたはずです。そういう人たちが上昇を見越して買いに走り、買い手が多くなったために株価は上昇しました。このように人々の心理によって三回目の上昇が起きたと予想できます。そして私が予想したように、4回目の上昇が起こると思った人が一定数いたはずです。しかし、実際はそうなりませんでした。理由はいろいろ考えられますが、例えば、三回目の山で十分利益が取れたと感じて利益確定の売りに走った人が多数を占めたということが考えられます。つまり、チャートの形に加えて、それを見て大多数の人がどう考えるか含めて考えなければならないのです。

 どうでしょうか、ちょっとはチャートの読み方に興味が出てきましたか?チャートを読むだけで確実に利益が出せるようになるとは言えませんが、知っておけば自分の投資にとってプラスになるでしょう。

 ここからは、チャートの構成要素について、詳しく見ていきましょう。

 チャートを構成する最小単位は、ローソク足と呼ばれます。緑の枠囲んだ小さい四角形です。この一つが、決められた期間(一分や一日や一か月)の値動きを表しています。そして、それらを連続して見ることで、長期間の値動きを視覚的に認識することができます。今は上昇傾向にあるのか、下降傾向にあるのか一目瞭然です。詳しくは他のサイト(https://www.smbcnikko.co.jp/first/stock/kiso03/kiso03_3.htmlなど)を参考にしてください。

チャート ろうそく足

 チャートにはいろいろな形があります。そして、チャートを読む過去の天才たちが残してきた知恵が、チャートパターンとして一般に広く知られています。チャートパターンは、様々なサイトで紹介されていますので、興味のある人は検索してみてください。(https://www.gaitame.com/beginner/chart_pattern.htmlなど)

 チャートパターンが論理的に正しいのか証明することは困難ですが、多くの人がチャートパターンを知っているという事実が最も重要です。パターン通りに取引する人が多数存在するということは、実際にその通りの値動きをすることに繋がります。次は値上りするというチャートパターンになれば実際に多くの人が買いに走り、それによって実際に値上がりするからです。

 企業の経済状況や政治情勢など、他の要因も絡んできますので、必ずしもチャートパターン通りになりません。教科書通りの綺麗なパターンが現れることも稀なので、なかなか難しい世界ですが、チャートを読んで利益を上げている人がいることも事実です。

 チャートにはさらに重要な情報が含まれています。移動平均線と呼ばれるものです。グラフの中に線グラフが何本があるでしょう。緑赤青の線です。例えば赤い線は、12か月移動平均線を表しています。過去12か月間の平均値をプロットし、それらを線でつなげたものです。ローソク足だと一つ一つの微妙な上下が邪魔をして全体的な傾向をつかみづらいですが、移動平均線は長期間で平均した数値を用いるので、滑らかなトレンドをつかみやすいです。その一方で、過去のデータを参考にしているのでリアルタイムな値動きを反映しきれず、情報にタイムラグが出てしまいまいます。緑色は6か月移動平均線で、変動が激しいですがタイムタグが少なくなります。青色は24か月平均線で、変動は緩やかですがタイムラグが大きくなります。

この移動平均線を用いた投資判断の方法も一般に知られています。(https://www.jibunbank.co.jp/products/foreign_deposit/chart/help/sma/など)

チャート 移動平均線

 グラフを見ていて、もう一つ気になるものがありませんか?一番下に棒グラフがありますね。棒グラフを見てみると、13年に山が立っていることが分かります。株価が上昇し始めた時期と一致しています。

 この棒ブラフは出来高を数値化したものです。出来高というのは、その期間内の商品の取引数量のことです。つまり、13年に多くの取引が行われていたことが分かります。

 価格が上昇するためには、購入希望者が増えなければなりません。オークションと同じように、次から次に購入者が参加してきて、どんどん価格が上昇していくのです。価格が下がる時も同じです。売る人が増えてきて価格が下がっていきます。出来高が増える時期は、トレンドの変わり目に一致するといえます。出来高が多くなってきたときは、トレンドが変わる可能性があるので要注意です。

チャート 出来高

 個別株など、特定の商品を買うときは、出来高の数字の大きさにも注目しておきましょう。平均的に出来高が大きい商品は十分な取引相手がいて、買いたいときにはすぐ買えるし、売りたいときにもすぐ売れます。逆に出来高が小さいと、希望通りの取引ができないことが多々あります。投資において、資金を機動的に動かせることは重要です。

 テクニカル分析の中には、複雑な計算式を用いて算出した指標を見たり、統計的な処理を行って判断する手法も多数あります。種類が多すぎて数え切れません。そういった具体的な説明は他のサイト(https://www.gaitame.com/beginner/qa_lesson2.html)に任せるとして、いまは「テクニカル分析にもいろいろあるんだな~」ぐらいに思っておけばいいと思います。目指すのは、堅実な長期的投資です。

 ちなみに、冒頭でお見せしたチャートですが、最終的には価格が上昇しています。やはり、難しいですね(笑)

テクニカル分析 チャート