ドルコスト平均法

 ドルコスト平均法は、投資商品の購入金額をできるだけ下げるような手法です。実践方法はいたってシンプルで、定期的に同じ商品を、一定の金額づつ購入していく方法です。購入金額を自分で設定できる投資信託でよく使われます。では、ドルコスト平均法は何が優れているのでしょうか?ドルコスト平均法以外の手法と比較しながら説明していきます。

 キャピタルゲインを得るために一番いい方法は、最も値下がりしたところで買って、値上がりしたところで売ることです。しかし、ピンポイントでそんな取引ができるわけありません。逆に、一番高いところで買って、一番低いところで売ってしまう可能性も同じだけあります。仮にうまく取引出来て利益が出せたとしても、頻繁な取引で発生する手数料によって、正味マイナスとなるケースがほとんどです。

 そんなリスクを低減するために一番シンプルな方法は、長期間にわたって一定数の投資商品を購入していく方法です。こうすることで、高い値段の時に購入してしまうリスクを減らすことができます。そして長期的に値上がりする商品であれば、確実に利益を出すことができます。

 

 さらに効率的な方法として編み出されたのが、ドルコスト平均法です。この方法では、長期間にわたって一定金額の投資商品を購入していきます。投資商品は価格が変動するので、一定額を購入するルールに従うことで、価格が相対的に高い時には購入数量を少なく、価格が相対的に低い時には購入数量を多くすることができます。価格の変動が激しい商品はリスクが高いので通常は避けたいものですが、ドルコスト平均法では価格の変動が激しい方が平均してより大きな利益を得やすくなります。

 注意点としては、価格が下がり続ける商品だと、利益を出すことができません。とはいっても、そもそもそんな商品は投資対象とすべきではないですし、他の手法でも利益を出すことはできないので、ドルコスト平均法に限った話ではありません。

ドルコスト平均法

ドルコスト平均法のメリットを、以下にまとめてみました。

①一定数を購入する手法に比べ、より大きな利益が期待できる

 上述の通り、投資商品の価格が低い時は大量購入、高い時は少量購入することができます。

②ルール通りに投資するだけなので、悩む必要がない

 証券口座では、毎月一定額を購入するという設定ができるので、自動的に購入してくれます。また、一時的な価格の変動をいちいち気にすることなく精神的に安定して過ごせます。

ドルコスト平均法のデメリットを、以下にまとめてみました。

①大きなキャピタルゲインを得られるチャンスを逃してしまう

 価格が一番低い時以外にも継続購入することになるので、大きな利益を得られるチャンスはなくなります。しかし、そもそも価格が一番低い時を判断できる人などいません。

②長期的なインカムゲインが減少する

 もし仮に、今大きな資金を持っていた場合、それを一気に投資して長期的な値上がりやインカムゲインを得るのが最も効率的です。しかし、ドルコスト平均法だと少量ずつしか投資できないため、効率的ではありません。まとまった資金があるならば、リスクの低い商品に一気に投入すべきと思います。そして、毎月の家計の利益分をコツコツとドルコスト平均法で投資に回すべきです。

③資産の管理を忘れがち

 一度設定してしまえば自動で取引してくれるというのも、デメリットになりえます。設定したことをすっかり忘れていて、知らない間に投資額が膨らんでいたり、将来有望でない投資商品を買い続けたり、ということも起こりえます。これは、定期的に自分の投資状況をチェックすることで防ぎましょう。

 デメリットを書きましたが、適切な運用をすればそれを上回るメリットが得られます。適切なケースでドルコスト平均法の効果を十分に発揮させることが重要です。

 簡潔に言うと、まとまった資金がすでにあり、「今この商品に投資すれば、ほぼ確実に利益が見込める」というタイミングでは一気に投資すべきです。逆に、今後少額ずつ投資に回せるお金があり、利益が確実に見込める商品が無い場合は、基本的にドルコスト平均法を使うべきです。