ポートフォリオ

 ポートフォリオとは、どの金融資産をどのような割合で保有するのか、そのバランスのことです。性質の異なる商品を組み合わせて保有することで、資産価値の急激な変動を抑えることができます。急激な価値の減少や増加をさせない代わりに、安定した増加を実現しようということです。しかし、ただ単に数多くの商品を保有すればいいというわけではありません。各自の家計状況や今後のライフプランにあったポートフォリオを設定し、自分が管理しきれる程度の分散にすべきです。

 主に、以下三つの視点で考えましょう。

  • 投資資産と預貯金の比率
  • 投資商品の種類のバランス
  • 地域の分散

投資資産と預貯金の比率

 ポートフォリオを考えるうえでまず考えるべきは、自分の資産のうちいくらを投資に回すかです。これを決めるには、まずは自分のライフスタイルを分析する必要があります。

 生活に必要なお金は、現金か預貯金という形で、すぐに使える状態で確保しておく必要があります。投資に回したお金はすぐに現金化できない場合もありますし、現金化しなければならなくなるとせっかくの投資計画が狂ってしまいます。約半年分の生活費と、大きな出費(子供の教育費や車の購入費など)は最低限、現金や預貯金として残しておくべきです。そのためには、自分の今の資産の内訳と、毎月の家計の収支を把握しておく必要があります。面倒に思うかもしれませんが、投資のための家計簿に書いてあることを参考にして、まずは自分の家計状況を把握しましょう。

 また、投資資産は値動きによって精神的に疲弊しない額にとどめておくことも大事です。今後半年は暮らせるお金を手元に確保していたとしても、仮に投資資産が半分に減ってしまうとかなりショックを受けます。ある程度の金額までなら、「いずれ上がるから、今はむしろ買い時」と考えられるのですが、額が大きくなると不安で夜も寝られなくなります。そのせいで本業に影響が出ていまったら元も子もありません。とはいっても、自分はどれぐらい耐性があるのかは実際に投資してみないとわかりません。まずは少額から初めて、徐々に投資額を増やしながらそのラインを見極めましょう。

 チャンスだと思った時にまとまった額を投資するための余裕資金も確保しておくべきです。余裕資金が無ければ、投資のチャンスが来ても購入できません。できれば、日本円だけではなく、ドルでも余裕資金を持っておきたいです。

 ここでは仮に、投資資産と預貯金を6:4の割合で保有することに決めたとしましょう。

投資資産と預貯金

投資資産の種類

 どういう種類の投資商品をどれぐらいの比率で所有するかも重要です。よく対比されるのは、株式と債券の割合です。ハイリスクハイリターンの株式と、ローリスクローリターンの債券の割合によって、攻めの投資をするのか守りの投資をするのかが決まってきます。また、両者は反対の値動きをすることが多いので、リスク分散にもなります。投資信託の中には、一つの商品で株と債券を配分したものもあるので、自分の理想に近い投資信託を買うのもありです。個人の目標やライフスタイル、性格に合わせて、どこまでリスクを取った投資をすべきか考える必要があります。

 ここでは仮に、以下の図のように割合を決めたとしましょう。

投資資産の種類

地域の分散

 投資対象の地域を分散することも考えましょう。単純に言えば、日本と外国の資産配分をどうするかです。日本に住んでいる以上、日本円を保有しておく必要がありますが、投資商品を日本に限っておく必要はありません。欧米をはじめとした先進国や、アジアなどの新興国の商品も積極的に取り入れましょう。日本経済がなかなか成長しない一方、米国や中国はどんどん経済成長し、投資市場も安定した伸びを見せています。日本国内だけを見て、海外の経済成長の機会を見逃すのは実にもったいない話です。そもそも、日本の金融商品だけを保有しているというのも、非常にリスクが高い状態です。

 先にも述べましたが、海外の投資商品を売買するためには、海外の通貨を保有しておいた方がいいです。日本円で売買すると、そのたびに為替の影響を受けてしまします。海外の通貨を保有しておけば、為替の変動に左右されず、投資商品の変動に注目して取引が可能です。私は外貨建てMMFでドルを保有し、株の売買に使っています。さらに、為替の変動に応じて通貨を売買し、利益を得ることもできます。

 ここでは仮に、以下の図のように割合を決めたとしましょう。

地域の分散

 ポートフォリオは、経済状況や政治情勢、本人の家計状況や年齢、性格などによって様々です。誰かと同じポートフォリオが自分にとって最適だということはまずありません。そもそも正解はありませんし、時と場合によって変化していくものです。じっくり自分自身で考えて、納得して長期投資に取り組めるようなポートフォリオをまずは作るべきです。仮に損をしても、「納得するまで考えたポートフォリオだから、しょうがない。」と思えるぐらいじっくり考えましょう。