複利とは何かを理解するには、その対義語の単利と比較すると分かりやすいです。
単利とは、投資した金額(元本)に対してのみ付与される利息です。100円に対して10%の利息が付くとすると、一年目に10円、二 年目にも10円、三年目にも10円を受け取ります。
複利とは、元本に加えこれまで受け取った利益に対しても付与される利息です。100円に対して10%の利息が付くと一年目に110円になりますが、このときには利益を受け取らず追加で投資に回すとします。二年目には110×1.1=121円になりますが、このときにも利益を受けとらずに追加で投資に回すとします。三年目には121×1.1=133.1円になりますがまだ受け取りません。こうしているうちに、八年目には200円を超えています。
単利だと八年間での利益は80円ですが、複利だと100円以上になります。期間が長ければ長いほど、この差は驚くほど拡大していきます。
上記のように、得た利益を再投資に回すだけで、雪だるま式に投資資産が増えていきます。これは、投資期間が長ければ長いほど大きい効果を発揮します。そして、リスクが低くてリターンも小さい商品でも、長期間複利効果を利用することで、最終的に大きな資産を得ることができます。特に若い人は、手持ちの資産が少ないかもしれませんが、その代わりにこれから十分長い投資期間があるのでぜひとも有効活用すべきです。
一つ現実的な数字で見てみましょう。
手元に100万円があって、年間3%の利益が安定して得られる投資商品を買ったとします。40年後、それがどうなるか計算してみましょう。
単利の場合、一年間で得られる利益は、100万円×0.03=3万円になります。40年間で合計3万円×40=120万円の利益です。かなり増えたような感じがしますね。
次に複利の場合、一年後には103万円になり、二年後には103万円×1.03になります。40年後の利益は、100万円×1.03^40-100万円=約226万円になります。
同じ商品に同じ期間投資したとしても、単利だと120万円の利益、複利だと226万円の利益と、恐ろしく差がついてしまいます。もちろん、複利の場合は40年間お金が使えない一方で、単利の場合ははじめの年から3万円のお金が使えるというメリットはあります。「年を取ってから使えるお金が増えるより、若いうちからお金を使いたい」という人は単利で運用する方がいいかもしれませんが、そもそもそういう人は投資に手を出す必要はないですよね?
複利効果を理解するうえで、72の法則というものがあります。72を利息で割った数字の年数がたてば、資産が倍になるというものです。
3%だと、72÷3=24年で資産が倍になります。
4%だと、72÷4=18年で資産が倍になります。
6%だと、72÷6=12年で資産が倍になります。
これを覚えておけば、自分の目標と、設定すべきリターンを感覚的に理解することができます。