金融商品の種類

金融商品には実に様々な種類があります。投資を始めようと思っても、どんなものがあって、どういうものか訳分からないですよね。ここでは初心者でも手を出しやすい、 債券投資信託FX について解説します。


①株

株式

正式名称は株式です。会社が資金を調達するとき、お金を提供してくれた人(株主)に証明書という形で株式を発行します。昔は紙で手元に届きましたが、今は電子化されています。株主は株を所有することで、後述する四つのメリットを得ます。また、株は株式市場で売買できます。売買の最小単位は口(くち)と呼ばれ、日本では100口単位で売買できます。会社によって株の価格(株価)は様々で、数百円で買える株から数百万円もする株もあり、しかもその値段は需要と供給のバランスで常に変動します。

株のメリット

株を買うことで得られるメリットは、①配当金、②値上がり益、③株主優待、④議決権 です。

 

①配当金

もともと株は、大勢でお金を出し合って事業を行い、その事業で得た利益を分け合うという仕組みから誕生しました。配当金は出資者がもらえる分け前のようなものです。

会社は、投資家から調達した資金によって事業を行い、その結果得た利益を年に一回整理して清算します。その利益は、一部は会社の資産に、一部は次の事業への投資に、そして一部は投資家に配当金という形で還元されます。多くの資金を提供した株主が多くの配当金を受け取れるように、保有する株式数に比例した配当金が支払われます。

 

②値上がり益

株は株式市場と呼ばれる取引所で売買されます。業績が良くて将来的に成長が見込める企業の株は人気が高く、高い値段で取引されます。したがって、その人気具合によって株価は常に変動するのです。株価が安い時に買って、高くなった時に売れば、その差額が利益となります。これを値上がり益と呼びます。

 

③株主優待

株を発行する企業から年に数回、その企業に関連したモノやサービスが提供されることがあります。これを株主優待といいます。自分がよく利用する企業の株を買えば、欲しかったモノやサービスを無料で手に入れることができます。中には、株主優待でしか手に入れることができない限定品を出しているところもあります。

 

④議決権

株を購入すると、その会社の所有権の一部を買ったことになります。購入した口数が多いほど、より多い割合の所有権を得たことになります。所有権を得ると会社の経営に参加することができます。具体的にいうと、会社の経営について話し合う株主総会に出席し、投票する権利を得られます。この権利を議決権といいます。また、企業が解散した場合は、株の保有数に応じて残った財産を受け取ることができます。

 

ちなみに、①配当金はインカムゲイン、②値上がり益はキャピタルゲインと呼ばれ、株以外でもよく使われるので覚えておきましょう。

株のデメリット

メリットがあれば必ずデメリットがあります。投資の世界ではデメリットのことをよくリスク呼びます。どのようなリスクがあるのでしょうか?

 

一番は、株価が下がることです。企業の業績が悪くなると配当金が減り、株の人気もなくなります。そうなると株価は下がっていきます。配当金がなくなること自体もデメリットですね。株主優待も突然変更されたり、無くなったりすることがあります。そして、最悪企業が倒産した場合、株には何の意味もなくなり、購入したときのお金も返ってきません。恐ろしいですね。

株の買い方

株はどうやって買うのでしょうか?食品や家電のように店舗で売っているわけではありません。そもそも、株式は昔は紙でしたが、2009年以降電子化されたため、モノとして手元に置いておくことすらありません。

 

株は、証券会社に申し込んで購入します。証券会社が私たちに代わって、株式市場で株を売り買いしてくれるのです。そして、実際の株は専門の機関(証券保管振替機構:ほふり)が管理してくれます。なので私たちは、証券会社の窓口か専用のサイトで申し込むだけで株の売買ができます。とはいっても、証券会社とやり取りするためには、まずは証券口座を開設する必要があります。

 

詳細は次章の"投資を始めよう!"に書いているので、ここでは簡単な流れを書いておきます。

  1. 証券会社に証券口座の作成を申請する
  2. 証券口座にお金を振り込む
  3. 買いたい株を自分で選ぶ
  4. 証券会社の窓口かネットで注文を出す

どんな人におすすめ?

株は投資商品の中でも価格の変動が激しく、リスクが高い商品です。一方で、すべての株をトータルして長期的に見れば、ほぼ確実に価格が上昇していきます。売買を頻繁に行って短期間で利益を得たい人にもおすすめですし、長期的に利益を得たいという人にもおすすめです。自分でどの企業に投資するか選べるというのも魅力の一つです。


②債券

債券

国や地方公共団体、企業などが、資金を集めるために発行する証明書のようなものです。昔は紙媒体でしたが、今は電子化されています。債権を購入してから毎年利子が受け取れるのと、決められた期間が経過すると約束された金額が受け取れます。株式に比べて得られる利益は小さいですが、国や企業などの発行体が破綻しない限り確実に利益を得られるので、安全性の高い商品といえます。債権は新たに発行される新発債と、すでに発行されたものが市場で売買される既発債に分けられます。新発債の価格は発行時に決まっていますが、既発債はその時々で価格が変動します。

債券のメリット

債券は商品ごとに「満期」「額面金額」「利率」が決められています。満期はお金が返還される日、額面金額はその時に受け取る金額、利率は債券を保有している期間に一年あたりに受け取る利息の割合です。そして債券には、新発債と既発債があります。

 

【新発債】

発行体から直接購入する債券です。発行されるときの金額と額面金額が異なることがあるので、差額がプラスなら投資家の利益になります。利息も毎年の利益となります。

 

【既発債】

すでに発行された債権を投資家間で取引する場合は既発債と呼ばれます。債権を買いたい人が多くなれば価格が高くなり、その逆もあるので常に価格が変動します。株ほどの値動きはありませんが、安い時に買って高い時に売ればその差額が利益となりますし、額面金額との差額や毎年の利息も利益となります。

債券のデメリット

最も大きなリスクは発行体が破綻することです。破綻してしまえば利息も額面金額も受け取れないので、その危険性を把握しておく必要があります。しかし、どれほど信用できるか一般の人には調べようがないですよね。実は、債権の信用は専門の機関によって格付けされています。商品にはその格付けが記載されているはずなので、必ず確認しましょう。信用の低い債券ほど、利率が高く設定されています。また、満期までの期間が長い方がリスクが高くなるので、短期よりも長期の債券の利率が高くなる傾向があります。

 

満期が来るまでに売却して利益を得ようとしている場合、思いのほか債権市場での価格が上がらず、買った時より安い値段で売らざるを得ないこともあります。これもリスクの一つです。

 

債券の買い方

株と同じように証券会社を通じて売買するか、銀行で専用の口座を作ることで売買できます。まずは口座を開設し、口座にお金を入れ、証券会社や銀行に申し込んで売買を行います。新発債と既発債で買い方が異なります。

 

【新発債】

一定の募集期間内に購入ができます。決まった価格で購入できますが、期間が過ぎれば購入できなくなります。

 

【既発債】

すでに募集が終わった債券でも、購入した人が売りに出せば買うことができます。この取引が行われる場は債券市場と呼ばれ、需要と供給のバランスで価格が変動します。もちろん、購入した債券を既発債として売ることもできます。

 

どんな人におすすめ?

債券は満期まで保有すると決まった金額が返ってくるので予測がしやすいです。信用の高い債券は発行体の破綻の可能性が限りなく低いですが、その代わりリターンも小さいです。ローリスクローリターンの商品なので、安定志向の人や、十分に資金力があって大きなリターンを求める必要が無い人に向いています。

とはいえ、商品によっては高いリターンを受け取れるものもあります。例えば、新興国の債券は利息が10%近いものもありますが、発行体の破綻の可能性が高く注意が必要です。


③投資信託

FX

投資信託は専門の運用会社によって販売されている投資商品です。その仕組みの概要を説明します。

運用会社は多数の投資家から資金を集め、様々な株や債券に投資します。投資で得られた利益は、投資家に分配するか、さらなる投資に回します。投資家からすれば、間接的に投資資産を保有しているイメージです。個人よりも多額の資金を動かせるので、多数の商品にバランスよく資金を配分することができます。

 

投資信託は一口を最低単位として購入できます。一口の値段は基準価額(きじゅんかがく)といいます。その値段は常に変動しますが、株や既発債とは決まり方が異なります。詳しく説明しておきましょう。

一つの投資信託は複数の投資商品を保有しています。それらすべての投資商品の価値を足し合わせると、投資信託の資産価値が算出できます。一方、投資信託が何口買われているかも算出できて、それを総口数といいます。これで勘のいいひとは分かったと思います。一口当たりの投資信託の資産価値が、基準価額です。

基準価額 = 投資信託の資産価値 / 総口数

保有している投資商品の価値が上がれば、基準価額も上がります。基準価額は一日に一回算出されて公表されます。また、基準価額で売却することもできるので、買った時に比べて基準価額が上がっていれば利益になります。

 

 

多数の投資対象に分散して投資できるのでリスクを分散でき、投資対象の選定も運用会社に任せることができるので、初心者向けです。

投資信託のメリット

株や債券同様、基準価額が上昇してから売れば利益が出ますし、定期的に分配金として一定の金額が還元される商品もあります。

 

株や債券は、購入にある程度のお金が必要になので初心者は手を出しにくいです。一方、投資信託は100円程度の少額から購入できるものもあるので気楽に始められます。1口買うだけで複数の投資商品に分散投資できることもメリットです。投資対象をプロが選んでくれるので、初心者に適した金融商品であるといえます。

 

投資信託の種類は山ほどあり、それぞれが方針をもって運用されています。海外の株に集中するものや、世界中の債券に分散するものなど、自分の理想にあった商品を選べば、後は運用会社がそれに沿った売買をしてくれます。また、設定をしておけば、毎月決まった数量を追加購入するような設定も可能なので、副業として相性がいいです。

投資信託のデメリット

運用会社が売買を行ってくれるということは、その分手数料を取られます。商品にもよりますが、購入代金の0.2%程度~1%を超えるものなど、商品ごとに定められています。これはデメリットの一つです。

投資対象を自分で選べないことは、人によってはデメリットになるかもしれません。特定の株を買いたくても、運用会社が買う判断をしなければ買ってもらえません。そういう場合は、投資信託とは別に、個人で株を買いましょう。

リアルタイムな売買ができないこともデメリットです。注文を出してから数日後に売買が成立するので、今見ている価格とずれた金額で取引されます。そのため、今の値動きを見て頻繁に売買する取引はできません。

 

投資信託の買い方

証券会社や銀行、郵便局で購入できます。

どんな人におすすめ?

投資を始めたばかりで何を買っていいか分からない人や、本業があって投資にあまり時間をかけられない人に最適です。少額で複数の商品に投資してリスク分散できるので、堅実な投資を続けようという人にもいいでしょう。

長期的に継続して投資を続けたいという人に特におすすめです。


④FX(外国為替証拠金取引)

FX 画像

ドルやユーロなどの海外の通貨(外貨)を売買する、というよりも外貨と日本円を交換する取引です。100円と交換できる外貨の金額は、需要と供給のバランスで常に変動します。ドルを買いたいという人が増えれば、購入に必要な代金が変わるためです。ドルを保有していれば、そのドルと他の外貨を交換することも可能です。

取引は24時間世界中の国で行われていて、秒単位で交換の比率は変動します。自分の資産の数倍の取引ができるレバレッジという仕組みがあるのも特徴です。

様々な外貨に対して可能ですが、売買の度にわずかですが手数料がとられてるので、むやみに売買を繰り返すだけでは資金が減っていきます。自分の資金の数倍の規模の売買ができるレバレッジという仕組みがあるので大きな収入が見込めますが、逆に多額の借金を負うことにもあります。

FXのメリット

通貨の交換比率が変動するということは、1ドル=100円の時にドルを買って、1ドル=110円になったときにドルを売れば10円の利益が出ます。これがFXでの利益の出し方です。

また、日本では預金してもほとんど利息は付きませんが、外貨を保有しているときはその国の利息が付きます。現在は日本より海外の利息の方が基本的に高いので、外貨を保有しているだけで高い利息を得られます。海外の通貨を購入する方法は他にもありますが、中でもFXは取引手数料が最も少なくて済むので、多くの人が利用しています。

FXのデメリット

交換比率が変動することで利益を出せるという話をしましたが、逆に言えば損をしてしますこともあります。株や債券と違って、誰かが得した分誰かが損します。もっと言うと、取引の度に手数料が引かれていくので、投資家全員の売買取引を合計すると必ずマイナスになります。

海外の利息の方が高いという話をしましたが、それだけリスクもあります。日本ほど信用の高い国はほとんど無く、新興国などは国が破綻する危険性があります。そうなると、その国の通貨の価値はゼロになります。

 

レバレッジはもろ刃の剣です。自分の損失も数倍になるからです。最悪の場合、自分の資金がゼロになるどころが、借金を背負うことにもなりかねません。

どんな人におすすめ?

少ない手持ちの資金で、短期間に効率よく利益を出したい人向けの取引です。海外の通貨を保有しておきたい人にもおすすめです。ただしデメリットも多く、自分の投資に自信のある人や、リスクを管理して取り組める人でないと難しいです。メディアでは、リスクの高い取引を繰り返して短期間で大金を手にした人が良く紹介されますが、裏ではその数百倍の人が損をしているはずです。


他にもたくさん種類があるので、気になる人はその他の金融商品を見てください。とりあえず最初は、上の四つを覚えておけば十分だと思います。