個別株の選び方

 日本の上場銘柄で4000ほど、世界中には数万を超える個別銘柄がある中から、どうやって選べばいいのでしょうか?もちろん選び方は人それぞれです。しかしながら、初心者に適した選び方と、長期投資上級者向けに適した選び方というのがあります。おおよそ、以下のようなイメージです。

○初心者向け

親近感のある会社、詳しい業界 ←投資のハードルが低い。情報を得やすい。

見返りが大きい銘柄 ←すぐに結果が出るので投資をしている実感が湧く。

割安の銘柄 ←株価指標を比較すれば数字で判断できる

 

○中級者向け

経営状態のいい会社 ←少し勉強すれば数字で判断できる。失敗しても、後悔が少ない

 

○上級者向け

今後伸びると思った業種や会社 ←経済や経営に対する知識が必要

 

○長期投資ではお勧めしない

一時的な流行りの業種や会社 ←投機的なのでリスクが高い

親近感のある会社、詳しい業界

良く知っている会社なら、投資することに対して心理的に少しハードルが下がるでしょう。仮に損をしてしまっても、「自分が好きな会社に投資したのだからしょうがない」と割り切れたりもするでしょう。

そして株は情報戦です。元々知っている会社や詳し業界であれば、一般の人より知識があり、自然と情報も入ってくるはずです。また、その会社のユーザーの声も入ってきやすいので、世間からの評価も把握しやすいでしょう。

注意点としては、無数の銘柄の中で、自分の知っている会社はごく一部なので、選択の幅が狭くなることです。はじめの内はいいですが、ゆくゆくは色々な企業について調べましょう。

 

見返りが大きい銘柄

 

 株で得られるインカムゲイン(見返り)には、配当と株主優待があります。

 配当とは、株を保有している人に対して、その保有額に応じて支払われる利息です。当然、投資した額に比べて配当の割合が高い方が好ましいです。予定通り配当が支払われると、投資によって実際に現金が自分の手元に来ます。投資をしている実感が湧くので、初心者の方にはお勧めです。一般に、日本より米国の方が配当が高い傾向があります。ここで注意が必要なのは、あまりに高い配当を支払っている会社は、投資に回せるはずの資金が配当に回されている可能性が高いということです。

 その会社の利用券や、特別な商品をもらえるのが、株主優待です。普段利用している会社ならば、前述の株主優待も自分の好みのものが手に入る可能性が高いです。自分がよく利用する施設や、好きな商品ならば、現金で還元される以上にメリットがあるでしょう。ただし、突然株主優待の内容が変わったり、無くなったりする場合があるので注意が必要です。

割安の銘柄

 株価というのは、投資家の需要と供給の関係で決まります。しかし、その時の流行りによって、過剰に高く評価されたり、逆に過小評価されることがあります。過小評価されている株を見つければ、いずれ評価が見直されて適正な株価になった時にキャピタルゲインが得られます。今の評価が適正かどうかの指標として、PERとPBRがあります。

 簡単な指標なので、多くの人が見ているため、掘り出し物を探しだすのは容易ではありません。また、実は経営状況が悪いことで過小評価されているため、今後さらに株価が悪くなることもあります。ほしいと思った銘柄が、異常に高いPERやPBRになっていないかを確認することに合わせて、次項の経営状態と合わせて調査しましょう。

経営状態のいい会社

経営状態のいい会社

適切な数字、比率かどうか?

適切に推移しているか?

他社と比べてどうか? 

今後伸びると思った業種や会社

まずはどのような業種に分けられるか解説します。東証では、以下の33の業種に分類しています。

水産林業、工業、建設業、食料品、繊維製品、パルプ紙、化学、医薬品、石油石炭、ゴム製品、ガラス土、鉄鋼、非鉄金属、金属製品、機械、電気機器、輸送機器、精密機器、他製品、電気ガス、陸運業、海運業、空運業、倉庫運輸、卸売業、小売業、銀行業、証券先物、保険業、他金融、不動産業、サービス。

景気に左右されずらいディフェンシブ銘柄として代表的な業種は生活必需品(水産林業、食料品、医薬品)や社会インフラ(電気ガス)。

景気に大きく影響を受けるシクリカル銘柄として代表的な業種は製造業関連(機械、電気機器、輸送機器、小売業)。

数字で見えてこないこともたくさんあります。その企業のビジョンは?戦略は?経営者は優秀?今後の成長が期待できそうか?など、四季報や会社のWebサイトをリサーチしてみるのもいいでしょう。正直、そこまでじっくり分析するのはしんどいですが、そうやって知識や情報、判断力を身に付けていくと、投資家として一段高いレベルの投資ができます。

一時的な流行りの業種や銘柄

株には、一時的に人気が出て、急激に株価が上がるものがあります。例えば、健康ブームになると、健康グッズ関連の企業の株が高騰したり、AIブームが訪れるとAI関連の株が高騰します。それらは、短期的なブームで終わることもありますし、しっかりとした経営がなされていないのに、ブームに乗って株価が高騰しているだけの場合もあります。恐ろしいのは、そうした株は人気がなくなると株価が急落するということです。さらにいうと、株の上級者たちが、ブームが起こりそうな株をいち早く仕入れ、実際にブームが起こります。そして雑誌などで取り上げられ、さらに株価が高騰したところで上級者たちが売りに走り、そこから一気に値崩れして、結局一般の多くの人達が損失を出します。意図的にブームを起こすような投資家集団もいますので気を付けましょう。そういうのに使われるのを仕手株といいます。

そもそも長期投資には、一時的な流行りの株は不向きなので、安易に流行りの株には手を出さない方がいいです。

個別株をどんな視点で選んでいけばいいか分かったところで、実際に銘柄を選んでみましょう。日本株については、「日本株を選んでみた」に、米国株については「米国株を選んでみた」で紹介しています。