人それぞれの投資目標


 投資目標を具体的に決めると言われても、投資したことが無い人からすると分からないですよね。投資目標を決める上で重要なのは、投資の期間と、求める利回りです。利回りとは、一年あたりに得られた利益の割合のことです。

 目標までに十分な期間がある人は、長期的な投資を行うべきです。一方、一刻も早く大きな利益を出したい人は、短期的な投資を行うべきです。そして、大きな利回りを求めようとすると当然、大きなリスクを背負うことになります。失敗しても何度でも挑戦できる人や、短期間で大きな資金が必要な人は高い利回りを求めるべきです。一方、失敗が許されない人や、元々十分な資金を持っている人は、低い利回りで着実な投資を行うべきです。

 ここでは、いろいろなモデルケースを例に、投資目的と目標を仕方を紹介していきます。

ケース1:

一流企業勤めで、起業のための資金がすぐ欲しい若者

 今の財産のほとんどを投資に回し、また、収入のほとんども投資に回すべきです。そして短期間で少しでも資金を増やすには、リスクの高い商品にも手すべきです。仮に投資に失敗して財産の多くを失っても、会社の給料で自分ひとりの生活なら何とかなります。それよりも、なかなか資金が増えず起業のタイミングが遅くなる方が損失が大きそうです。毎月の給料から、できるだけ多くの資金を投資に回しましょう。家計の収支的に毎月捻出できそうな額が足りなそうであれば、期間を長くするか、もっとリスクを取ってより高い利回りを狙いましょう。

目的 できるだけ早い時期に、起業のための資金を準備する。
目標 3年間で、今の資金200万円を1000万円にする。
大計画 毎年、200万円を投資し、利回り20%で運用する。
小計画

毎月、10万円を投資に回し、

ボーナス80万円も全額投資に回すという計画で投資する。

ケース2:

退職金が手に入り、老後資産を少しでも増やしたい定年退職者

 人生で最も多くのお金を得るのは、退職金を受け取る時でしょう。しかし、一気に大金を手にしても、その使い道が分からない人は多くいます。また、この先何年生きるかも分からないので、この先の資金計画も難しいです。長生きしすぎるということもリスクの一つです。そこで、今の資金を減らすことなく、この先も暮らせるのが一番です。そこで、今の全財産を使って、年金で不足する収支を賄うことにします。家計の収支より、今後今の生活を続けた場合、毎月5万円が不足しそうだと分かったとします。その場合、今の資金をできる限り使って分散投資を行い、損失を極力出さずに利益を得たいです。今5000万円が手元にあるとして、余裕を見て4000万円を投資に回すとしましょう。計算すると年率1.5%の利益で目標を達成できそうです。これなら十分低リスクな運用で事足りそうです。

目的 手持ちの財産を極力増やして、老後の生活を楽にする。
目標 今の資金できるだけ使い、毎月5万の利益を得る。
大計画 4000万円を投資に回し、利回り3%の投資を行う。
小計画 4000万円を分散投資し、確実に利回り3%の投資を行う。

 

ケース3:

子供にかかるお金や、自分たちの老後資金のために資産を確保したい現役世代

これから収入が増える一方で、子供たちへの出費は増え、さらに老後の資金も貯めなくてはなりません。まずは今の家計収支を把握することと、今後どれくらい収入と支出が増減しそうかをわかる範囲で想定しておきましょう。そして、5年後、10年後、20年後、、、にどれくらい投資にお金を回せそうか予想しておきます。その範囲内で、極力多くの額を早いうちから投資に回し、長期的に運用したいです。また、子供が小さくてまだ出費が少なく、自身も若くて健康なうちは、多少リスクの高い商品にも手を出して、高い利回りを狙うべきです。多少損出が出ても、その時期なら何とかなります。子供が大きくなって出費が増え、自分の健康にも不安が出てくるころには、投資資金も大きくなっているでしょう。そうなると、徐々にリスクの高い商品は手放すようにすべきです。そして定年間近には、ほとんどを低リスクの商品にしておきましょう。残りの投資期間が短い中で、リスクの高い商品を保有しておくのは怖いです。また、この時期には投資額もかなり大きくなっているはずなので、利回りが低くとも多くの利回りを得られるはずです。

目的 今の生活水準を保ちつつ、老後の資金を確実に確保する。
目標 家計収支を維持しつつ、リターンを最大化できるよう定年まで運用する。
大計画 必要最低限の貯蓄を常にキープし、はじめはリスク高め、徐々にリスク低めの運用を30年間行う。
小計画 300万円の貯蓄をキープし、始めはミドルリスク商品10割→最終的にローリスク商品10割のようにポートフォリオを管理する。

ケース4:

ギャンブル好きで、投資そのものを楽しみたい独身者

あんまりいい例ではないですが、こういう人もいるかもしれませんね。少額を、ハイリスクな商品に短期的に投資するのもありでしょう。ただし、毎月の収支から、月いくらまでなら投資に回しても問題ないかは計算しておきましょう。多分、ギャンブル好きならハイリスクな商品に投資したくなるでしょう。その代わり、投資した分が全額なくなるかもしれないということは覚悟しておいてください。

目的 投資そのものを楽しむ。
目標 家計に影響のない範囲で、値上がりと値下がりの興奮を味わう。
大計画 年に10万円までを、ハイリスクな商品に短期的に投資する。
小計画 三か月に一度、個別のシクリカル株に投資し、基本的に三か月以内で売却する。

どうでしょうか、自分の投資の目的は見えてきましたか?ここに示したのはあくまで一般的な例です。

まずは自分の状況を振り返って、仮の目標を設定してみましょう。特に、期間とリスクについては明確に決めておきましょう。

 

上の例では言及しませんでしたが、自分自身の性格も関係してきます。ギャンブルやゲーム感覚で、価格の上下を楽しみながら資産運用をしたい人は、リスク高めの商品を一定量買ってみるといいです。価格の上下に精神を振り回されたくないという人は、安定的な商品のみを買う方がいいです。

 

このように、自分の置かれた状況や性格を考慮して、投資の目標を定めましょう。