投資のための家計簿


 投資を行う前に、今の自分の資産状況と家計状況を把握しておかなければなりません。今の自分の資産はいくらあってその内いくらを投資に回せるのか、今の正味の収入がいくらあって毎月どのくらい投資に回せるか、を知るということです。そのために効果的なのは、家計簿をつけることです。このページでは、資産状況を把握するためのBSの作り方、家計状況を把握するためのPLの作り方を解説します。

①資産状況を把握する方法

 →BS(Balance Sheet)=貸借対照表 の作成

 

②家計状況を把握する方法

 →PL(Profit and Loss statement)=損益計算書 の作成

 

③いくら投資に回す?


BS 貸借対照表

 貸借対照表は、本来は企業の資産状況を把握するための書類ですが、個人の資産の把握にも使えます。作り方は簡単で、今の自分の資産の合計と、負債の合計をすべてリストアップするだけです。ただし、すぐに使える資産なのか数年先まで使えない資産なのかを区別します。また、すぐに返さないといけない負債なのか、しばらく返す必要のない負債なのかを区別します。

 今回は、家計簿風にアレンジした貸借対照表の作り方を、ステップを追って説明します。

 

①すぐに使えるお金をリストアップしてください。

 ex.手持ちの現金、銀行の預金

②すぐには現金化できないが、一年以内には現金化できそうなものをリストアップしてください。

 ex.不要になって売りに行く予定のブランドバック、有価証券

③一年以上先にしか現金化できないものをリストアップしてください。

 ex.定期預金、貯蓄型の保険

 

最後に、合計を一番上に記載します。

資産合計 ***円  

①すぐに使えるお金

・〇〇銀行口座 **円

・△△銀行口座 **円

・手持ち現金 **円

 

②一年以内に現金化可能

・ブランドバック **円

・有価証券 **円

 

③一年以上先なら現金化可能

・定期預金 **円

・貯蓄型の保険 **円

 

 

 

 

 

 

 

 

 負債についても同じです。

④すぐに返す必要があるお金をリストアップしてください。

 ex.友人からの借金、後払いの高額の買い物

⑤一年以内に返す必要があるものをリストアップしてください。

 ex.毎月の分割ローン

⑥一年以内には返す必要はないが、その内返す必要があるものをリストアップして下さい。

 ex.奨学金、長期のローン

 

最後に、合計を一番上に記載します。

資産合計 ***円 負債合計 ***円

①すぐに使えるお金

・〇〇銀行口座 **円

・△△銀行口座 **円

・手持ち現金 **円

 

②一年以内に現金化可能

・ブランドバック **円

・有価証券 **円

 

③一年以内に現金化不可能

・定期預金 **円

・貯蓄型の保険 **円

 

 

 

 

④すぐに返すべきお金

・友人からの借金 **円

・□□の後払い **円

 

⑤一年以内に返すべきお金

・携帯の分割ローン

 

⑥一年以降に返すべきお金

・奨学金 **円

・車のローン **円

 

 

 

 

 

 

「現在の純資産」に①-④の値を記入します。

「一年後の純資産増」に②-⑤の値を記入します。

「一年後以降の純資産増」に③-⑥の値を記入します。

最後に、上記の合計を純資産に記載します。純資産は、資産合計から負債合計を引いた値と等しくなるはずです。純資産合計が、マイナスの値になる人もいるかもしれませんね。

資産合計 ***円 負債合計 ***円

①すぐに使える

・〇〇銀行口座 **円

・△△銀行口座 **円

・手持ち現金 **円

 

②一年以内に現金化可能

・ブランドバック **円

・有価証券 **円

 

③一年以内に現金化不可能

・定期預金 **円

・貯蓄型の保険 **円

 

 

 

 

④すぐに返すべきお金

・友人からの借金 **円

・□□の後払い **円

 

⑤一年以内に返すべきお金

・携帯の分割ローン

 

⑥一年以降に返すべきお金

・奨学金 **円

・車のローン **円

純資産

①-④現在の純資産 ***円

②-⑤一年後の純資産増 ***円

③-⑥一年後以降の純資産増 ***円

 

 

どうでしょうか、上の表は埋まりましたか?ミリミリと記入する必要はないですが、10万円単位くらいでは把握しておきましょう。


PL 損益計算書

 次は損益計算書です。こちらも本来は企業の収益状況を把握するために使われる書類ですが、個人の家計の把握にも使えます。作り方は簡単で、毎月の収入の合計と、支出の合計をすべてリストアップするだけです。ただし、今後も定期的に受け取れる収入(定期収入)と、突発的に受け取れた収入(臨時収入)を区別して書きます。また、この先も同じ金額がかかり続ける支出(固定費)と、突発的に発生した支出(臨時支出)も区別して書きましょう。

 今回は、家計簿風にアレンジした損益計算書の作り方を、ステップを追って説明します。

 

①先月の収入の内、今後も同等の額が定期的に受け取れるものをリストアップします。

 ex.給料、残業代、行政からの補助金

②先月の収入の内、臨時的にもらえたものをリストアップします。

 ex.ボーナス、不要になったブランド品の買い取り費

 

サラリーマンだと、安定的にもらえる収入が大部分だと思います。最後に、合計を一番上に記載します。

 

今月の収入 ***円  

①定期収入

 ・給料 **円

 ・残業代 **円

 ・子供手当 **円

 

②臨時収入

 ・ボーナス **円

 ・腕時計の売却 **円

 

 

 

 

 

 

 

①先月の支出の内、今後も同等の額が定期的にかかるものをリストアップします。

 ex.食費、家賃、ローン返済

②先月の支出の内、臨時的に発生したものをリストアップします。

 ex.ボーナス、不要になったブランド品の買い取り費

 

最後に、合計を一番上に記載します。

 

今月の収入 ***円 今月の支出 ***円

①定期収入

 ・給料 **円

 ・残業代 **円

 ・子供手当 **円

 

②臨時収入

 ・ボーナス **円

 ・腕時計の売却 **円

 

 

 

③固定費

 ・食費 **円

 ・家賃 **円

 ・ローン返済 **円

 

④臨時支出

 ・家族旅行 **円

 ・車の修理 **円

 

 

 

「安定した利益」に①-③の値を入力します。

「突発的な利益」に②-④の値を入力します。

最後に、上記の合計を今月の利益に記載します。今月の利益は、今月の収入から今月の支出を引いた値と等しくなるはずです。今月の利益が、マイナスの値になる人もいるかもしれませんね。

今月の収入 ***円 今月の支出 ***円

①定期収入

 ・給料 **円

 ・残業代 **円

 ・子供手当 **円

 

②臨時収入

 ・ボーナス **円

 ・腕時計の売却 **円

 

 

 

③固定費

 ・食費 **円

 ・家賃 **円

 ・ローン返済 **円

 

④臨時支出

 ・家族旅行 **円

 ・車の修理 **円

今月の利益 ***円

①-③安定した利益 **円

②-④突発的な利益 **円

 

 どうでしょうか、上の表は埋まりましたか?1万円単位くらいでは把握しておきましょう。できれば、最低三か月分は情報が欲しいです。この情報から、この先一年間のあなたの収入と支出がおおよそ予想できます。


いくら投資に回す?

 さて、ここからが本番です。これから一年間、どのようなペースで投資していけそうか計算します。まず、BSで算出した、「現在の純資産」を記入してください。

 次に、BSで算出した「②一年以内に現金化可能な資産」と「④一年以内に返す必要がある資産」の合計を記入してください。そして、PLから予想される「一年間の収支予想」を記入してください。

 これらすべてを足し合わせると、一年後の純資産が予想できます。

 全額を投資に回すこともできなくないですが、あまりにリスクが高すぎます。ここでは、何かの理由で半年間収入がなくなっても生活できるようにという想定で進めましょう。半年間の支出は、PLで算出した一か月間の支出×6でおおよそ計算できます。一年後の純資産から、PLで算出した一か月間の支出×6を引きましょう。その額を投資に回せる資金に記入します。

現在の純資産 万円
+ 一年後の資産増減  万円
+ 一年間の収支予想 万円
= 一年後の純資産 万円

 次は、毎月投資に回せる金額を算出していきます。一年後の純資産を全額投資に突っ込むこともできますが、もし仮に投資資産が暴落すると、生活すらままならなくなります。せめて半年間の生活費は残しておきましょう。PLより算出された生活費より、半年間の生活費を算出して記入します。

 

 一年後の純資産から半年間の生活費を引いた額が、余裕資金です。この金額を全額投資に回してもいいですし、一部を投資に回してもいいです。なので、余裕資金に0~1の間の数字をかけた金額を、投資に回せる金額としましょう。

一年後の純資産 万円
ー 半年間の生活費  万円
=余裕資金 万円
余裕資金 万円
× 投資に回す比率  0~1
=投資に回せる金額 万円

これでようやく、自分がどの程度の額を投資に回せそうかが分かりました。この時点で金額がほぼゼロ、あるいはマイナスの人は、投資を諦めて今のライフスタイルを変えてみることから始めましょう。