数ある投資信託の中から、どのように選べばいいのかはじめは全く分からないと思います。そこで、投資信託を比較する時の代表的な項目を紹介します。ここで紹介する項目ごとに条件指定してスクリーニングしたり、順番にソートしたりして、最適な投資信託を選びましょう。項目は以下です。
投資信託では主に、購入時手数料と運用管理費用(信託報酬)がかかります。その他にもかかる費用がありますが、微々たるものなので割愛します。
購入手数料とは、投資信託を購入する際に販売会社に対して支払うお金です。販売会社や商品によって額が決まっていて、購入額の数%の費用が掛かる場合と、手数料がゼロ円の場合(ノーロードと呼ばれる)があります。できればノーロードのものを選びたいですね。
信託報酬とは、投資信託を保有している間に関係する組織(販売会社、運用会社、信託銀行)に対して支払うお金です。自分の保有額から、決まった額が自動的に差し引かれていきます。投資信託を運用するのに必要な経費なので、運用管理費用という呼び方の方がイメージしやすいです。商品によって決まっていて、年間で0.数%~数%の金額になります。できれば低いものを選びたいですね。
投資信託の運用規模を示すのが純資産総額です。組み入れられている金融商品の合計から、負債や経費などを差し引いた正味の金額のことです。この純資産総額がある程度大きい投資信託を選びましょう。純資産総額が大きい商品には、以下のような特徴があります。
1. 人気がある
純資産総額が大きい=たくさん買われている、ということです。純資産総額が増加傾向にある投資信託も、今現在人気が高まっているということなので、いい商品である可能性が高いです。
2. 経費が相対的に安い
投資信託の運用額が大きくなっても、運用にかかる経費はそれほど増えません。したがって、ファンドの規模が大きければ、信託報酬などの金額が安く設定されていることが多いです。
3. 運用が柔軟にできる
ファンドマネジャー(保有商品の売買を決める人)が株を大量に購入すべきと判断しても、十分な資金が無いと実行できません。純資産が大きければ多くのお金を動かせるので、柔軟な運用ができます。
4. 繰り上げ償還のリスクが少ない
資金が減りすぎると保有商品の売買ができなくなり、投資信託の運用が中止されることがあります。これを償還といいます。十分な資金があれば、繰り上げ償還されて投資計画が狂う可能性が低いです。
純資産総額の目安としては、だいたい50億円以上あれば十分といえます。
投資信託は、保有している株式などの分配金や、値上がり益で利益を出します。その利益は定期的に計算されて公開されます。利益の一部は運用会社に支払われ、一部は分配金という形で投資信託の購入者に還元されます。この分配金を、定期的に受け取る「分配金受取型」と、受け取らずに次の投資に回す「分配金再投資型」があります。
長期的な投資を行う人は、「分配金再投資型」を選びましょう。複利効果を使って、最終的に大きな利益を得られます。
一方で、例えば高齢で、日々の生活費を捻出したいという人は「分配金受取型」を選びましょう。
投資信託は、運用がうまくいかなくなると繰り上げ償還されます。一時期は好調でも、経済状況が変わった途端に大きな損失が出て消滅する商品も少なくありません。長い期間運用されている投資信託は、それだけ安定した運用がされているといえます。目安として、5年以上運用されている投資信託は信頼できます。
しかし、注意点があります。同じ投資信託でも、ファンドマネジャーが変わることがあります。今まで優秀なファンドマネジャーが運用していて安定した運用がなされていたのに、人が変わった途端に運用方針が大きく変わることもあります。目論見書等で確認するようにしましょう。
証券会社や販売会社が、独自のランキングやスコアをつけてくれていて参考になります。しかし、注意してください。本当にいい投資信託がランキング上位や、高スコアを獲得しているとは限りません。証券会社や販売会社としては、自分たちが最も多くの利益を得られるような商品を購入者に勧めるはずです。極端に言うと、購入手数料や信託報酬が高い商品が上位になっている可能性があります。ランキングやスコアを参考にするときは、どういう基準で評価しているのかをしっかり見てください。
投資信託が運用を終了するまでの期間を信託期間といいます。そもそも終了する期限を設定していない商品も多数あります。このサイトでは、長期的な資産運用を目指しているので、信託期限が無期限の商品を選びましょう。
以降の項目は、じっくり見なくてはならないので、多数の商品で比べることは現実的ではありません。上記の項目で比較してある程度商品の選択肢が絞られてから、以下の項目を検討しましょう。目論見書という資料で詳しく確認することができます。
目論見書を参照し、どのような方針で運用することを目指しているのかチェックしましょう。リスクを取って流行りの商品に投資をして高利益を狙っているのか、リスクの低い商品に幅広く投資して安定した利益を狙っているのか、などが書かれています。
また、今現在、どのような株をどのような比率で保有しているのか、どの地域にどの割合で投資しているか、といった保有商品の内訳も書かれています。自分の理想に近いものを選びましょう。
目論見書には、基準価額の推移や純資産の増減など、今までの運用実績が書かれています。これらが安定的に増えている商品だと安心ですが、減っている商品だと繰り上げ償還の可能性もあるので避けた方がいいです。
各年の利益や、分配金の推移も見ることができます。あまり大きな変動がなく、安定的に推移しているものが理想です。また、他の類似商品や、インデックスとの比較なども見ることができます。特定の期間内に、価格が何%増加(あるいは減少)したかを表す、騰落率も見ておきましょう。同じ期間で比較することで、各商品の実績が分かります。
過去の実績が必ずしも今後の運用を予想するわけではありませんが、同じファンドマネジャーが、同じような運用方針で今後も運用してくれるならば、今後も安定した利益を出せる可能性が高いです。