金融商品の分類

 初級知識の"金融商品の種類"では、株、債券、投資信託、FXがどういうものかについて簡単に解説してきました。このページでは、それぞれの商品をより細かく分類して、特徴を解説していきます。


株の分類

 分かりやすいのは国による分類です。アメリカやドイツのような先進国の株は、比較的安定していて、情報も豊富なので、多くの日本人が投資しています。もちろん日本株も先進国株に含まれます。他にも、中国やインドなどのような新興国の株もあります。これらは今後の経済発展が期待されていますが、今のところ価格の変動が大きくてリスクが大きいです。初心者はまずは先進国の株に投資しましょう。

  • 先進国株・・・アメリカ、ドイツ、日本などの経済的に安定した国の株
  • 新興国株・・・中国、インドなどの今後の経済発展が見込まれるが、経済的に不安定な国の株

 

 景気にあまり左右されないディフェンシブ株(内需株)と、大きく左右されるシクリカル株(景気敏感株)という分類もできます。

 

 ディフェンシ株はインフラ(ガス電気通信、公共交通機関など)や生活必需品(食品、日用品、医薬品など)などが代表的です。景気が上がろうが下がろうが、生活する上では必要なモノやサービスなので、企業の業績に大きな変動はありません。したがって、株価の変動も比較的落ち着いています。

 

 シクリカル株は素材産業、製造業、運輸業などが代表的です。景気がいい時は、モノの素材が大量に作られ、製品も大量に製造され、完成した製品が大量に輸送されるので、関連する企業の景気が良くなります。一方、景気が悪い時は、関連する企業の景気が悪くなります。景気の良しあしに株価が大きく左右されます。

 

 配当などで安定した利益を継続的に確保したいという人はディフェンシブ株の中から選ぶべきです。景気の波にうまく乗って大きな利益を得たいという人はシクリカル株に多くを投資すべきです。

  • ディフェンシブ株・・景気にあまり左右されない安定した銘柄
  • シクリカル株・・・・景気に大きく左右される銘柄

債券の分類

 まずは、発行元が国や地方自体体などの公共機関なのか、企業や金融機関などの民間企業なのかで分類できます。前者は公共債、後者は民間債と呼ばれます。

 

 公共債で代表的なのは、国債です。例えば、アメリカや日本のような先進国では、国の破綻のリスクが相当低いので国債のリスクは低いです。その代わり、利息も低めです。一方、南アフリカやインドネシアなどは、国の破綻のリスクが少なからずありますが、その代わり利息が高めです。それぞれの国債のリスクを一般人が予測するのは困難ですが、そのリスク評価を専門的に行っている会社があり、一般に公開されています。その評価を"格付け"と呼びます。

 

 民間債は、発行体によってリスクも利息もそれぞれです。こちらも同様に、専門の会社がリスクを評価して格付けを行っています。

 

 はじめのうちは当然、格付けの高い(リスクの低い)債券を買うようにしましょう。

  • 公共債(先進国)・・・先進国の国や地方公共団体が発行する債券。リスクは低いが、利息も低い。
  • 公共債(新興国)・・・新興国の国や地方公共団体が発行する債券。リスクは高いが、利息も高い。
  • 民間債・・・・・・・企業や金融機関が発行する債券。

 債券は、新規で発行される新発債と、すでに所有している人から購入する既発債にも分けられます。新発債は、発行体が決めた価格で販売され、期限が来れば決められた利息が受け取れます。一方で既発債は、売りたい人と買いたい人の需要と供給で価格が決まるため、常に変動します。

  • 新発債・・・発行体から新規で発行される債券。購入価格が決まっている。
  • 既発債・・・所有者から買い取る債権。価格が変動する。

用語の補足

ソブリン債 国債のこと

 

投資適格債 信用格付けが高い代わりに低い利回りの債券

ハイイールド債 信用格付けが低い代わりに高い利回りの債券

 

シニア債(優先債) 格付けが高く利回りは低い =投資適格債

メザニン債 格付けは宙で利回りも中

ジュニア債(劣後債) 格付けが低く利回りは高い =ハイイールド債


投資信託の分類

 投資信託は、主に株に投資するもの、債券に投資するもの、不動産に投資するものに分けられます。さらに、金や原油、小麦などの商品(コモディティ)を投資対象としたものもあります。さらに複雑なのが、これらに複合的に投資する投資信託も多数存在しますが、詳しくはここでは割愛します。

 

 株や債券、不動産には、全体的な価格変動を表す指数(インデックス)というものが存在します。株であれば、日本国内のすべての株式の値動きを反映したものや、代表的な大企業の株の値動きを反映したものがインデックスとして使われます。債権についても、不動産についても、大多数の商品の価格変動や、代表的な商品の価格変動をトータルした数値がインデックスとして一般に公表されています。

 

 投資信託は、こういった各種インデックスに追従することを目指したインデックスファンドと、インデックスを上回る利益を得ることを目指したアクティブファンドに分けられます。

 

 インデックスファンドは、あまり頻繁に保有する商品を入れ替えません。目標とするインデックスに含まれる商品を適切な割合で保有することで安定した利益を出すことを目指します。また、手数料が比較的低いです。

 

 アクティブファンドは、ファンドマネジャーと呼ばれる人たちが、各種インデックスを上回るように積極的に商品の売買を行います。うまくいけばインデックスファンドの数倍の利益を生み出せますが、その分値下がりするリスクも高まります。また、頻繁な商品の売買にかかる手数料や、ファンドマネジャーにかかる経費によって、手数料が比較的高いです。

まとめ

投資対象は、株、債券、不動産、商品(コモディティ)、そして複合。

  • インデックスファンド・・各種インデックスに従う運用を目指す。値動きが小さく、手数料が安い。
  • アクティブファンド・・・各種インデックスを上回る運用を目指す。値動きが大きく、手数料が高い。

外貨の分類

 自国の通貨と、他国の通貨を交換することで利益を得ます。代表的なのはFXですが、外貨預金や外貨建ての保険という方法もあります。海外の株式や債券を保有することも、広い意味で外貨を保有していることになります。どの通貨と交換するかによって、得られる利益が異なってきます。一般的に先進国の通貨と、新興国の通貨に分けられます。

 

 先進国通貨は、米ドルやユーロ、日本円が代表的です。これらの通貨は比較的為替変動が安定しています。日本に住んでいると、日本円に対して米ドルやユーロの為替レートが変動するので、適切なタイミングで売買できれば利益を得られます。また、基本的に外貨の方が利率がいいので、日本で貯金をしているよりも利益を得られます。

 

 新興国通貨は、メキシコペソや南アフリカランド、トルコリラなどが代表的です。国の経済がまだ安定しきってないので、為替変動が大きいです。リスクが高いですが、その分大きな利益を得られる可能性があります。また、先進国に比べて利率が高いので、より多くの利益を得られますが、通貨が暴落する可能性もあるので注意が必要です。

まとめ

  • 先進国通貨・・・為替変動が安定している。日本円より外貨の方が利率が高い。
  • 新興国通貨・・・為替変動が激しい。先進国通貨より利率が高い。

 ここで、各金融商品が、どれくらいの利回りを目指せるのか、目安をお伝えします。

 

ハイリスクな商品

・株 海外  シクリカル株 ~20%

・投資信託 海外 アクティブファンド ~20%

・株 日本 シクリカル株 ~10%

・投資信託 日本 アクティブファンド ~10%

 

ミドルリスクな商品

・株 海外 ディフェンシブ株 ~8%

・投資信託 海外 インデックスファンド ~8%

・株 日本 ディフェンシブ株 ~5%

・投資信託 日本 インデックスファンド ~5%

 

 

ローリスクな商品

・債券 先進国 ~4%

・投資信託 債券 ~3%

・債券 日本 ~1%